評価方法の考え一部示す 新制度の指針案概要を公表(2015.1.22)
消費者庁は今春に創設する機能性表示食品制度のガイドライン案概要を示した。14日に開催された規制改革会議の健康・医療ワーキンググループ(WG)に「機能性表示食品に係る届出に関するガイドライン(案)の概要」として提出されたもので、食経験など安全性の考え方や機能性の評価方法、機能性表示の範囲などについて示してある。ガイドラインは現在も「検討中」(食品表示企画課)であり、公表時期については依然として未定だ。
概要によると、安全性については食経験による評価を第一に挙げ、食経験で評価できない場合は、既存情報で評価するか、機能性関与成分か最終製品での安全性試験による評価を求めた。既存情報とは第三者によるデータベースの2次情報などを想定しており、国立健康・栄養研究所のデータベース(『健康食品』の安全性・有効性情報)などの活用を検討しているという。
一方、機能性の評価では、最終製品を用いた臨床試験か、最終製品又は機能性関与成分に関するシステマティックレビュー(SR)の実施を求めた。SRの実施に当たっては、予め文献の選択や除外の基準、レビュープロトコール(計画書)を策定し、それに従い検索などを行うよう求めている。
また、最終製品の臨床試験やSRを問わず、試験の対象者は疾病に罹患していない者とし、被験者から病者を外した。ただし、サプリメント形状の加工食品は対象外の観察研究においては、前向きコホートの場合はアウトカム評価時、過去にさかのぼる症例対照研究の場合は、調査開始時に、それぞれ疾病に罹患した状態でも良いとした。
表示の範囲は「健康の維持及び増進に役立つ、又は適する旨(疾病リスクの低減に資する旨を除く)を表現するもの」で、明らかに医薬品と誤認される恐れのあるものであってはならないとした。例としては①容易に測定可能な体調の指標の維持に適する又は改善に役立つ旨②身体の生理機能、組織機能の良好な維持に適する又は改善に役立つ旨③身体の状態を本人が自覚でき、一時的であって継続的、慢性的でない体調の変化の改善に役立つ旨―を挙げたが、具体的な表現は示さなかった。ただ、身体の特定の部位に言及した表現や、特定保健用食品(トクホ)で認められている範囲は可能とした。
一方、診断や予防、治療、回復、緩和といった医学的表現や、糖尿病、高血圧といった疾病の治療効果、肉体改造、増毛、美白などについては認められないとした。併せて、限られた免疫指標データで身体全体の免疫に機能があると誤解を招く表現や、ヒト試験以外の細胞や動物試験を根拠にした表現なども認められない表現例に挙げた。表現例についてはネガティブリスト化される可能性が濃厚といえる。
なお、同庁は機能性表示食品制度を含めた食品表示基準を官報告示したあと、関連するガイドラインなどを公表する予定にしているが、現状では告示を含め時期は未定としている。