新制度 スタートまで1週間切る 注目の届出件数(2015.3.26)
機能性表示食品制度の施行まで1週間を切った。届出資料の受付けも制度施行日の4月1日から始まる。第1号商品が登場するのは6月の見通し。今月2日にガイドライン(指針)案が公表されて以降、生鮮食品まで対象にする上に国の許可が不要な従来なかった機能性表示制度に、テレビ、新聞、雑誌といったマスメディアからの注目も高まっている。
全国を縦断する形で行われた消費者庁主催の説明会は19日に終了。担当課では引き続き、業界団体主催セミナーなどに場所を移して説明を続けている。同日午後には健康食品産業協議会主催の説明会に出席、24日にも日本通信販売協会主催のシンポジウムに登壇した。記者の参加が認められなかった産業協議会の説明会では、事業者から事前に寄せられた146件の質疑に応じた。
指針は、事業者の判断に委ねる部分も多いため解釈に悩む声も多く聞かれる。一方で、研究レビュー(システマティックレビュー)を既に終えている事業者もあり、同庁への届出件数も施行とほぼ同時に一定数に達する可能性もありそうだ。果物で届け出る動きも伝えられている。
サプリメント形状の食品の届出に関しては、健康食品販売大手が先行するとの見方が強い。届出を巡る動きは各社明らかにしていないが、森下仁丹ではこのほど開催された「JAPANドラッグストアショー」で、サプリの新ブランド「ヘルスエイド」の来年度発売を発表した。機能性表示食品として市場展開していくと見られる。また、ラインナップの多くを機能性表示食品に移行したい方針が一部から漏れ聞こえるほか、早い段階で届出ることで「(競合他社に対し)先行逃げ切りを図りたい」と話す先もある。
原料事業者では、機能性表示の表現案を公表する動きが目につき始めた。研究レビューに基づき考案し、対応準備の進捗具合を印象づけてもいる。また、販売会社と二人三脚で届出準備を急ぐ先も見られる。指針が「出てから決める」腹づもりだった販社が方針を固めたことで、対応に追われる事業者も。来月1日以降、届出件数は月を追うごとに増えていくことになりそうだ。
一方、研究レビューを巡っては、事業者に代わって行う代行事業を始める動きが目立ちつつある。一部の臨床試験受託企業がレビューの受託も開始した模様だ。また、団体では以前から名乗りを上げていた日本健康・栄養食品協会のほかに、このほど日本抗加齢協会も参入を明らかにした。
他方で、指針の公表以降、争いが起こっても「一切の責任を負わない」と消費者庁が指針で宣言した、届出資料を巡る著作権が新たにクローズアップされている。同庁の説明によれば、同庁ホームページで公開された届出資料は「届出者が著作権を持つ公表著作物となる」。このため、その届出資料を丸ごと無断で引用した場合は著作権法に抵触する一方で、資料の内容が結果的に似通った場合の事業者対応を懸念する声があがっている。
また、指針で示された、食事摂取基準に摂取基準が定められている一方で機能性表示成分の対象となり得る成分の選定根拠を巡って疑問視する見方が一部で出ている。新制度の対象外とされれば産業界からの反発必至な成分が多く対象にされてはいるが、同庁はこれまでのところ選定根拠を具体的に説明していないと見られる。そのため、これらが新制度の対象になり得るのであれば、摂取基準が定められている他の成分も対象になるはず、との声が強くなりつつある。