消費者庁、確認に時間 届出受理20製品に(2015.5.7)


 消費者庁は1日、3回目となる機能性表示食品の届出情報の公表を行い、新たにサプリメント9製品が追加、これにより届出受理件数は計20件に達した。ただ、4月1日の制度開始以来の書類提出件数は100件を大きく超えており、「時間がかかり過ぎだ」という業界からの声が大きくなりつつある。消費者庁は週に1回の頻度で届出情報を新たに公開していく方針。

東洋新薬も届け出

 届出受理第1弾として8製品の届出情報を消費者庁が公開したのは先月17日。以降、一週間後の同24日にも3製品の情報を新たに公開しており、これまでのところ、17日を除き、毎金曜日午後3時以降に届出情報を公開する形となっている。

 24日に情報公開された3製品の届出者は、サプリメント2製品が東洋新薬、その他加工食品として清涼飲料水1製品がカルピス。東洋新薬では葛の花由来イソフラボン、コメ由来グルコシルセラミドを機能性関与成分とするサプリをそれぞれ届け出た。いずれもトクホの関与成分として申請され、現在も審議が続いている成分。

 東洋新薬は受託製造企業。届出を行った理由について同社は「制度はスタートしたばかりで、どのようなことができるのか顧客が想像するのが難しいと思われる。その支援ツールとして活用することを考えている」「届出商品を見て、当社に機能性表示食品の開発を任せて頂ける顧客が増えることを期待している」とコメント。自社ブランド製品として取り扱うことも想定しているという。
 一方、1日に届出情報が公開された9製品のうち7製品の届出者は森下仁丹。主力製品の「ビフィーナ」で一気に4製品を届け出ており、いずれも機能性関与成分はビフィズス菌、表示する機能性は「腸内フローラを良好にし、便通を改善する機能がある」。

 同社ではこのほかローズヒップ由来ティリロサイド、ヒアルロン酸、ビルベリー由来アントシアニンを機能性関与成分とするサプリをそれぞれ届け出た。これら機能性表示食品すべてについて同社は1日、来月19日から全国のドラッグストアや通信販売で発売すると発表した。
 1日の9製品のうち残り2製品の届出者は、ヒアルロン酸を機能性関与成分とするサプリの届出が先月17日付で受理されていたアサヒフード&ヘルスケアと、ロート製薬。ロートではルテインとゼアキサンチンを機能性関与成分にしたサプリを届け出た。臨床試験論文1報を対象にした研究レビュー(システマティックレビュー)で機能性の科学的根拠を説明しており、「見る力の維持をサポートすることが報告されています」と機能性を表示する。

「実質審査」は否定

 これまでに届出情報が公開された食品の形態を見ると、サプリが17製品、その他加工食品が3製品とサプリが大半を占め、生鮮食品はゼロ。また、表示しようとする機能性に関しては、身体部位では目や肌、また内臓脂肪(体脂肪)に対する機能を表示するものが目立つ傾向となっている。

 一方、制度スタートから1カ月が経過したものの届出受理件数は20件に止まり、受理した書類の情報公開もやや遅れ気味だ。1日に届出情報が公開された9製品の届出日(受理日)はすべて4月20日。10日間以上経過してから情報公開されたことになる。

 届出受理件数が書類提出件数に比べて少ない理由は、提出種類に些細な不備があり、届出者に差し戻すケースが続出しているためだ。板東久美子消費者庁長官は22日の会見で、「書類を適正なものにしていただくというやりとりに時間がかかっている部分がある」と説明。また、「よくミスが起こりやすい、間違いやすいような事柄については少し整理をして発表する」と話した。

 ただ、審査に近い形でチェックしているのではないかという疑問も持ち上がっている。これについて板東長官は同日の会見で「実質上の審査をしているというわけではない」と否定。届出者は製品発売予定日を書類提出時点で決めており、消費者庁が届出受理までに必要以上に時間をかけるようなことがあれば、企業の販売計画に大きな影響を与えることになる。

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