具体策巡り議論厳しく 特定商取引法見直し議論(2015.6.11)

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 特定商取引法の見直しに向けた議論を進めている消費者委員会の特定商取引法専門調査会(後藤巻則座長・早稲田大学大学院教授)で、いわゆる不招請勧誘の禁止や罰則強化を求める意見と、悪質業者排除には同意するが、関係事業者すべてに規制強化することには慎重な意見が交錯している。高齢者被害の増加や法規制を逃れる事業者の手口が巧妙化し規制強化は避けられないところだが、営業の自由度が縛られるのには抵抗感があるのが背景にあるといえる。

 法規制を逃れようとする事業者の手口は巧妙化しており、消費者庁によると立入検査に協力しない事業者の増加や、処分を受けても別法人を立ち上げて事業を継続するケースが目立つという。

 このため、同庁は執行強化策として、訪問販売、電話勧誘業者に登録制などの事前参入規制の導入や、行政処分の効力を役員などの個人、違法行為のノウハウがある従業員等に及ぶようにし、違反した場合、刑事責任を追及できる方策について検討する考えなどを示し、5月27日の同調査会に提案、大筋で合意を得たという。

 事前参入規制は繰り返し違反行為を行う悪質事業者に対応するための方策と位置づけている。国内では建設業法や旅行業法で採用している。一方で、日本訪問販売協会などの自主規制団体に加盟する事業者は団体が事業者を管理することを認めるなどの緩和措置を併せて検討するようだ。

 また、行政処分の対象や範囲を拡大することにより、処分を受けた法人役員が別法人を立ち上げて実質的に行政処分を免れるような事案に対処する。さらに、処分を受けた事業者が別の都道府県で類似の違反行為を行うのを防ぐため、一つの都道府県が行った行政処分が別の都道府県にも効力が及ぶような方策についても検討する。

 ほかにも、報告徴収や立入検査の際に虚偽報告を行った事業者への罰則強化や事業者名の公表、立入対象となる「密接関係者」の範囲拡大についても検討する。同庁は他の法律も参考に懲役刑の検討も行うようだ。

 一方、今月10日に行われた同調査会では、事業者や事業者団体などのヒアリングを実施したが、営業の自由度を縛る規制強化には反対の意見が多かった。ヒアリングは日本新聞協会、日本新聞販売協会、太陽光発電協会、自動車販売連合会などの団体と、㈱ダスキン、㈱高島屋などの事業者からも行った。特に訪問お断りステッカーなどに法的効力を持たせることについては、不招請勧誘の禁止につながるため慎重な意見が多かった。これについては事業者に近い委員からも慎重な検討を求める意見が出た。悪質事業者排除では一致するが、いよいよ具体策の検討段階を迎え、今後の議論はますます厳しさを増しそうだ。
【写真=事業者などへのヒアリングを行った6月10日の特定商取引法専門調査会(東京・千代田区)】

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