微生物バイオ事業に本腰 将来の柱事業に 丸善製薬(2015.6.25)
有用微生物を活用して健康食品・化粧品原料を開発・生産するバイオ機能性素材事業に丸善製薬㈱が本腰を入れている。販売中の第1弾素材の植物性乳酸菌に続き、微生物由来ピロロキノリンキノン(PQQ)の開発を現在進めている。
「微生物を活用したバイオ関連事業は当社のチャレンジ分野。植物抽出物の製造以外にも事業領域を広げていく必要がある」と同社担当者は話す。将来的に、バイオ事業を柱事業の一つに育てていきたい考えだ。
植物由来の微生物からPQQを効率に生産する方法の開発は、岡山理科大学と進めている。これまでの研究で、PQQを多く生産できる菌株を植物から分離する方法を見出し、高い生産性を示す菌株を確認。研究成果はこのほど開催された日本農芸化学会中四国支講演会で発表した。
PQQは、脳機能改善作用などが報告されている補酵素の一種。米国では2008年からサプリメント原料として利用開始、日本でも今年、配合サプリが初めて発売され、注目されている。一部の野菜などにも含まれている成分だが、含有量はごく微量。そのため、発酵法を用いた生産が行われている。
「研究は始まったばかり」だと同社は言い、実用化までにはまだまだ時間がかかる。ただ、植物由来を訴求できることもあり、実用化にめどが付けば、健康食品・化粧品原料として生産、販売していく方針だ。
一方、2012年5月から販売を開始した植物性乳酸菌「スマート乳酸菌」(登録商標)では、死菌タイプを新たに追加し、このほど本格販売を開始した。これにより、最終製品の製造時に厳重な菌管理が求められる生菌タイプの課題を解決。すでに大手企業のドリンクなどに採用されている。