訪販規制など議論平行 9月以降も継続 消費者委(2015.7.23)
消費者委員会の特定商取引法専門調査会(後藤巻則座長・早稲田大学大学院法務研究科教授)は22日、特定商取引法改正に向け焦点の一つになっている、訪問販売、電話勧誘販売の規制について検討した。同調査会がこの問題を検討するのはこれで3回目。だが、不招請勧誘の禁止など規制強化を巡る意見の隔たりはこの日も埋まることはなかった。
訪問販売、電話勧誘販売については不招請勧誘の禁止のほか、「消費者の意思に反して行われる勧誘」かどうかの線引き、再勧誘禁止の強化などが検討課題に上がっている。この日は消費者庁が論点などを整理し、それに基づき検討が進められたが、最大の懸案事項である不招請勧誘の禁止をはじめ、勧誘行為や営業活動の自由度を縛る規制強化に難色を示す事業者サイドの委員と、消費者目線で罰則強化に前向きな消費者サイドの委員は、結局、歩み寄ることはなく、意見は平行線を辿った。
同庁は「消費者の意思に反して行われる勧誘」の対象から外れる勧誘行為を①配達や宅配といった契約履行行為②ビラ・チラシ・ハガキ・商品サンプル等の投函③消費者自らの要望、招請を受けて行う勧誘、消費者からの問合せに対する情報提供等――に整理した資料を提出したほか、消費者サイドの委員からは健全な勧誘行為を妨げるものではないとして、規制強化に理解を求める発言が繰り返された。だが事業者サイドの委員からは、宅配業者が消費者宅に配達した際に自社のサービスなどを説明するセールス行為や、シールなどで訪問販売を断る意思表示をしている消費者宅にも紹介などのかたちで勧誘を行うことがあるといった事例を挙げ、勧誘活動は多岐にわたり、一律に規制や線引きはできないと譲らなかった。
訪問販売や電話勧誘販売はそもそも不意打ち行為だと主張する委員もおり、事業者サイドの委員との意見の隔たりは大きい。これは前回の同法大改正時の議論でも似たような構図だった。
この問題については9月以降もさらに検討する。後藤座長は「真摯な議論がされ理解は深まったと考える」と、この日の議論で一定の進展があったことを強調するが、この議論をどのように収束させるか座長の手腕が試される。
次回は31日に開催し、8月の中間とりまとめに向けた検討のほか、高額な契約に対しクレジットや消費者金融を利用させるなどの強引な勧誘に対する規制のあり方について検討する。
【写真=22日の消費者委員会「特定商取引法専門調査会」(東京・千代田区)】