ベリー類 研究深耕 機能性表示に反映期す(2015.10.8)


 ビルベリーエキスの眼疲労改善効果を検証する査読付き臨床試験論文が増えている。これをけん引するオムニカが新たな査読論文を発表。ドライアイ改善効果が期待されるマキベリーではオリザ油化が慶応大眼科と連携し、大規模臨床試験をスタートさせる。

ビルベリー 査読論文また

 ビルベリーエキスの摂取による眼疲労改善効果を報告する新しい臨床研究論文が査読付き学術誌「薬理と治療」9月号に掲載された。健常者24名を被験者にした無作為化二重盲検プラセボ対照臨床試験により、VDT作業負荷に対する眼疲労回復効果の有効性を調べたもの。1日当たり40㍉㌘のビルベリー由来アントシアニンを4週間摂取した群は、眼疲労測定の他覚的指標として用いられるHFC(調整微動高周波成分)がプラセボ摂取群と比べて有意に改善したとしている。

 論文は、ビルベリーエキスを供給する㈱オムニカらが発表したもの。葉山隆一・葉山眼科クリニック院長、北市伸義・北海道医療大学病院眼科らと共同研究を行った。試験に用いられたのは同社が供給する「ミルトアルゴス」。

 ミルトアルゴス摂取による眼疲労改善効果を巡っては、同誌3月号にも論文掲載されていた。これも同社らが発表したもので、この論文では、VDT作業負荷に対する眼疲労改善効果の指標として、同じく眼の調節機能の他覚的指標として用いられる測定機器(トライリリス)を使った縮瞳率の有意な改善を報告している。1日当たり摂取量は、ミルトアルゴスとして160㍉㌘。

 これら2報の臨床研究論文の意義について同社らは、いずれの臨床試験もUMIN‐CTRに事前登録されていることを挙げる。また、試験試料と供給成分の同等性が厳密に制限されていることのほか、「関与化合物である血中アントシアニンの体内動態を観察した上で、摂取と有効性の因果関係を自覚症状と同時に重層的に評価している」こともあると強調している。

マキベリー 大規模臨床へ

 アントシアニン類の中でも特にデルフィニジンを多く含有するマキベリーエキスについて、「マキブライト」(登録商標)の名称で原料供給するオリザ油化㈱は1日、ドライアイ改善機能を検証する大規模臨床試験の実施計画を正式に発表した。同素材でも機能性表示食品制度に対応する意向を明確にした格好だ。マキベリー由来デルフィニジン類を機能性関与成分とし、「眼の渇きや疲労感を低減させる働き」の表示実現を目指す。

 臨床試験は来月中旬にも開始する計画。これまでも共同研究を行ってきた慶應義塾大学医学部眼科学教室監修のもと、ドライアイ境界域健常人を被験者にした無作為化二重盲検群間比較方式の臨床試験を行う。被験者数は、計100名以上となる見通し。

 試験終了時期は、来年1月ごろを予定している。終了次第、研究レビューを実施するなどし、販売各社が機能性表示食品として届出を行える体制を整える。

 マキベリーは、南米チリ原産のホルトノキ科植物の果実。現地での食経験は長く、米国や日本では近年になり「スーパーフルーツ」として注目度が高まっている。その抽出エキスのアイケア機能については、同社が世界的に先行する形で研究を進めており、ドライアイ改善作用をヒトモニター試験で明らかにし、海外学術誌に論文発表するなどしている。

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