原料事業者、SR着々 届出支援の厚み増す(2015.10.8)
機能性表示食品の届出に重要となる機能性関与成分のシステマティックレビュー(研究レビュー)を原料事業者が着々と整えている。販売会社にとっては心強いサポートを期待できそうだ。
インデナがビルベリーで
ビルベリー抽出物「ミルトセレクト」を供給する㈱インデナジャパン(東京都千代田区)とユニキス㈱(同中央区)が同原料を配合した機能性表示食品の開発提案を本格化させている。機能性関与成分となるビルベリー由来アントシアニンの研究レビュー(SR)を終え、販売各社に対する届出支援できる体制を整えたためだ。届出に必要な、機能性情報をはじめ消費者向け基本情報、安全性情報の各届出書類を一括提供する。
インデナジャパンによると、表示しようとする機能性としては、「VDT作業など目の酷使における焦点調節機能をサポートすることが報告されています」を軸にした表現が想定され、「酷使」は「疲労」に置き換えることも考えられるという。
SRで最終的に採用した査読付き臨床試験論文は2報で、いずれもミルトセレクトを使用した。ここにきて関与成分の同等性を巡る課題を指摘する声が強まりつつあるが、同素材を配合することを前提に、同等性が担保される。また、用意した機能性情報に関する届出書類には、機能性を評価した関与成分を含む抽出物全体の成分組成なども添付しており、届出ガイドラインで求められている「『同等性の考察』にも万全を期した」とする。
この、同等性の考察を届出書類の中で示す方式については、日本抗加齢協会に委託し、専門領域の医師3名が評価する形で現在SRを進めているノコギリヤシ果実精製エキスの機能性評価にも反映させる考えだ。
このSRではインデナ社製(=サバルセレクト)以外の抽出方法も異なるノコギリヤシ果実精製エキスを使った臨床試験論文も採用。そのため、同社が供給する素材と、その他社素材の同等性について、届出書の中でガスクロマトグラフなどを使いながら明確に示す方針だ。SRは間もなく終了する見通し。「排尿のサポート」に言及する機能性表示が検討されているという。
オリザ油化は生コーヒー
ダイエット機能が報告されているグリーンコーヒー(生コーヒー)豆エキスも機能性表示食品素材化する可能性が出てきた。機能性関与成分は有効成分のクロロゲン酸類となる。原料供給するオリザ油化㈱(愛知県一宮市)がこのほどSRを終え、商品開発提案を進めている。
SRを実施したのは同社研究員2名のほか外部識者2名の計4名。メタアナリシスも行った。これらの結果から、届出表示としては、「本品にはクロロゲン酸類を含有するコーヒー生豆エキスが含まれます。クロロゲン酸類には体脂肪の増加を抑制することが報告されており、体脂肪が気になる方および肥満気味の方に適しています」などが想定できるという。
SRで最終的に採用した臨床試験論文は計5報。クロロゲン酸類を含有するグリーンコーヒー豆エキスの体重低減作用について、BMIが正常高値(BMI23以上25未満)および肥満1度(同25以上30未満)の被験者を対象にした論文を検索した。
採用した論文では、グリーンコーヒー豆エキスの1日当たり摂取量は100㍉㌘~1000㍉㌘の範囲で幅があった一方、各論文を統合分析すると、同素材を摂取した群はプラセボと比べて体重、BMI、体脂肪率についてそれぞれ有意な減少が確認されたという。この結果から、機能性表示食品としての1日当たり摂取量は、同社が供給する「生コーヒー豆エキス‐P」(クロロゲン酸類含有量45%以上)として400㍉㌘に設定した。
クロロゲン酸類でダイエット機能を訴求することは、他社の特許に抵触する懸念が以前から指摘されている。ただ、この懸念について同社が弁理士に裏付けを求めたところ、少なくとも同社が供給する素材では同特許に触れないとの見解を得たという。なお、生コーヒー豆エキスの脂質代謝改善作用については同社が日米欧中の4カ国・地域で特許を取得している。