新制度対応で研究会設置 査読誌復刊も 日健栄協(2015.10.22)
日本健康・栄養食品協会は16日、業界紙などを集めてメディア懇談会を開き、この中で機能性表示食品制度の課題や対応策を検討するため同協会内に2つの研究会を設置する方針であることや、食品機能など食品に関する査読付き学術誌「健康・栄養食品研究」を12月にも復刊することを明らかにした。会員企業などに向け機能性表示食品制度への対応を充実させる。
研究会は、制度の普及に向けた体制整備の一環として設置するもの。会員企業などから上がる意見や要望を集約、検討し、業界の自主的な取組みの推進や関係機関や有識者と連携を図る。具体的には、新制度の課題検討や届出手引書の作成を予定する「ガイドライン研究会」、表示・広告の適正化に向けた活動を行う「表示・広告研究会」の2研究会(いずれも仮称)の設置を予定。ガイドライン研究会座長には唐木英明氏(食の安全・安心財団理事長)、表示・広告研究会座長には林功氏(日本広告審査機構前事務局次長)がそれぞれ就くことも内定している。
新制度について会員からは、現在は機能性関与成分から外されているビタミンやミネラル、成分が明確ではないエキスの解禁を望む意見が上がっているという。表示や広告についても、自主的な指針の必要性や消費者に分かりやすい表示・広告の検討を求める意見がある。
ただ、これらの課題は日健栄協も参画する「健康食品産業協議会」で既に検討が始まっている。このため、日健栄協としては同協議会と連携して活動していく方針だ。
一方、「健康・栄養食品研究」の復刊は、新制度が機能性に関する臨床研究は査読付き論文であることを求めているのに応じたもの。現在、復刊に向けて投稿規定の策定などを行っており、来月上旬以降に投稿論文の募集を開始、論文受付から査読、論文校正、最終稿の編集委員の確認までの所要時間を約1カ月半程度に設定し、12月中に復刊第1号を発刊する。
「健康・栄養食品研究」は、特定保健用食品(トクホ)のヒト研究や成分の試験法の発表の場として1998年4月に創刊。以後、年4回のペースで12年3月まで発行し、最大で1000部程を発行していた。
復刊はオンラインジャーナルを主体とし、印刷物は必要部数のみにすることを検討している。また、事業者が機能性表示食品を届出るタイミングなどに対応するため特急掲載など随時発刊を可能にし、論文発表後に他社がその論文を使って先に届出受理されないようにする。機能性表示食品制度を重視するが、トクホの論文についても受け付けるという。
編集委員は、前国立医薬品食品衛生研究所所長で木原記念横浜生命科学振興財団理事長の大野泰雄氏、食品安全委員会初代委員長で国立がんセンター名誉総長の寺田雅昭氏、日本栄養士会名誉会長で神奈川県立保健福祉大学大学長の中村丁次氏など6名を選任した。このほか1論文につき2~3名の査読員を編集委員が指名する。編集委員の専門外の領域の論文が投稿された場合は、査読員や編集委員を追加して対応するという。
【写真=協会の事業などを説明する日健栄協の役員、前列左は下田智久理事長(10月16日、東京・新宿区)】