健食の表示・広告に厳しい指摘 消費者委の専門調(2015.11.12)
特定保健用食品(トクホ)を含む健康食品全般の表示広告や、トクホの制度や運用のあり方について検討する、消費者委員会の「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会」(寺本民生座長・帝京大学臨床研究センター長)が5日に開催され、トクホを含む健康食品の表示・広告について議論した。
専門委員がそれぞれの見地から意見や提案を行い、全体でディスカッションする形式で進められた。この中で唯根妙子委員(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会理事)は、トクホの許可文言の一部を切り取りキャッチコピーに利用していることや、いわゆる健康食品の誇大な表示・広告が後を絶たないなど、消費者を誤認させるような表示広告がある現状を憂慮。これらの問題解決に向け、同調査会で健康食品の定義づけや、効果を暗示する広告の禁止、違反事業者排除に向け健康増進法や食品表示法を見直し、消費者の声を反映させた広告規制となるよう検討を求めた。
一方、矢吹昭委員(日本健康・栄養食品協会特定保健用食品部長)は、トクホの業界自主ガイドライン策定や一昨年からはトクホ広告審査会を設置し業界が自主的に広告健全化に取組んでいることに理解を求めた。さらに、トクホの許可表示を消費者に分かりやすい表示に改善することも提案。具体的には許可文言に関与成分、メカニズム、期待できる効果、対象者を明記し、より具体的な表示にすることを求めた。ただ、これには「分かりやすい表現は誤解もしやすい」(梅垣敬三委員・国立健康・栄養研究所情報センター長)など、トクホに頼りすぎたり医薬品と誤認を与えかねないとして否定的な意見が多かった。自主ガイドラインや広告審査の内容や効果にも厳しい指摘が相次いだ。
このほか、消費者庁の三上伸治食品表示対策室長からは、同庁が所管する景品表示法や健康増進法に基づくネット監視や留意事項作成などの表示適正化の取組みのほか、保健所を通じて表示などに関する事業者相談に応じているとの説明があった。
この日の議論では、全般的に健康食品の表示広告に厳しい指摘が相次ぎ、特に虚偽誇大表示に対する監視や執行強化を求める意見が多かった。一方で、トクホは国による表示許可制度であり、安全性の観点からもそれ以外の健康食品とは分けて考えるべきとの意見でまとまった。
なお、同調査会の議論に役立てるのを目的に同委が実施するトクホの利用実態調査は、早ければ今月中にも実施し、今年中にも結果を取りまとめる。同調査はインターネットでトクホ利用者に対し利用実感や利用方法、食生活状況、表示広告について調査する予定。
【写真=11月5日に開催された消費者委員会の専門調査会(東京・千代田区)】