日弁連シンポ 登録制など制度改正を 石川氏が主張(2015.11.12)
機能性表示食品制度のスタートから半年余りが過ぎた10月29日、同制度を含めた健康食品全般について改めて考える機会にしようと、日本弁護士連合会の主催でシンポジウム「今あらためて『健康食品』を考える」が東京・霞が関の弁護士会館で開催された。日弁連で消費者問題に取組む消費者問題対策委員会(野々山宏委員長)の呼びかけで行われたもので、当日は消費者や関係者など115名が集まった。
日弁連では機能性表示食品の制度検討時と制度発足後の今年5月に、同制度の消費者への影響や法的根拠などを精査し、それらの改善を求める意見書を提出している。今回のシンポジウムでは、同対策委員会のメンバーでもある石川直基弁護士が登壇、機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)などの保健機能食品を含めた健康食品全般の問題点を指摘し、その改善を求めた。
石川氏はまず、トクホ、機能性表示食品、栄養機能食品の保健機能食品といわゆる健康食品の法的規制などを比較。そのうえで、トクホには安全性の審査があるが、それ以外の健康食品にも安全性確保の方策を検討すべきとしたほか、GMP(適正製造規範)による品質管理が必要だと訴えた。また、広告については原則自由だとしつつ、現行法ではトクホも含め多少の虚偽・誇大でも可能であり規制が甘いと批判。体験談なども含め科学的根拠があいまいな広告の禁止や誤認を与えない表現に規制することを求めた。さらに、適格消費者団体の差止請求権を健康増進法にも導入し、その実効性確保のため関係機関との協力体制整備や適切な予算措置の必要性を説いた。
機能性表示食品では、現行の届出制ではなく、所管庁が取消権を持つ登録制にすべきと主張。ほかにも被害情報集約のため、届出事業者ごとではなく、医薬品のような統一の連絡窓口を設置することや、トクホとの差別化のため、国の審査を受けていない旨の免責表示を「当社の判断です」などとするよう提案した。
【写真=制度の改善を求める石川直基弁護士(10月29日、東京・千代田区)】