尿酸の機能表示、間近か PA‐3で活気づく市場(2015.12.10)


 尿酸値の上昇を抑制したり、プリン体を排出するなどの機能を持った商材の市場投入が俄に活気づいている。すでにヨーグルトでニーズを捉えた感もあり、機能性表示食品として届出書類を提出する企業も複数社あるなど、来年以降、急速に市場が膨らむ様相を呈している。

 その風を送り込んだのは、今春に市場投入した明治の「プロビオヨーグルトPA‐3」。「プリン体と戦う」などのキャッチフレーズと有名俳優を用いたプロモーションで潜在ニーズを掘り起こした。当初販売目標30億円の2~3倍の売れ行きともいわれ、日経MJで今月2日に発表された2015年ヒット商品番付では前頭に推されるなどニーズを捉えた商材として紹介されるほどだ。

 健康食品分野でも、尿酸に機能する商材は以前から流通している。㈱カネカが3年前から手掛ける菊花ポリフェノール「クリスフラボン」や、鶏肉・魚肉由来のアンセリン、高分子・中分子キトサン、通称ミドリムシのユーグレナなどが、それら機能を有する素材として名乗りを上げている。

 ただこれら素材を活用した最終製品は薬機法による機能表現の壁もあり、企業側で訴求したい機能性は伝えられず商品の幅が拡がることに限りがあった。

 これら素材が訴求しきれなかった機能表示を可能としたのが機能性表示食品の枠組みだ。すでにカネカの子会社で最終製品を販売するユアヘルスケア㈱では「プリン体を含む食事による尿酸値の上昇をやわらげます」などの表示で届け出ており、小林製薬㈱では今夏開催の商品発表会において高分子キトサンを機能成分に「プリン体を吸着し排出」などの表示で届出を行うと明かした。また、わかもと製薬㈱でも菊花ポリフェノールを用いた最終商品を10月に発売、機能性表示食品としての届出も予定するとしている。

 これら対応商材ではいまだ届出受理はされていないものの(12月9日時点)、その機能表示が可能となれば、市場は一気に膨らむ可能性は高い。すでに市民権を得たともいえる「PA‐3」の牙城を崩すといった限られたパイの奪い合いとなるか、さらなる潜在需要を掘り起こす契機となりえるか、健食業界浮上の起爆剤となることに期待したい。

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