ネットの食品表示、方策検討を開始 消費者庁(2015.12.10)
市場が拡大するインターネット通信販売の食品表示を適切に消費者に届けるための方策づくりを消費者庁が開始した。4日、同庁の「食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会」(湯川剛一郎座長・東京海洋大学教授)が初会合を開いて作業を開始。懇談会では事業者や消費者へのヒアリングや調査を行い、必要な情報の内容やその提供方法、また事業者の実行可能性なども議論し、来秋にも取りまとめを行う。
食品表示は原材料やアレルゲン情報、保存方法、製造者情報など、食品衛生や品質規格上必要な情報をパッケージに記載することが義務付けられている。だが、ネット販売では実際にパッケージを手にとって内容を確認することができず、事業者が任意で情報提供しているのが現状だ。
だが、4月に施行された食品表示法の目的には、消費者の自主的、合理的な食品の選択機会の確保が掲げられている。この目的に照らせばネット販売であっても消費者に適切な情報を届ける手立てが必要ということになる。
実際、ネット販売における食品表示については、同法の基本的な考えについて議論した同庁の食品表示一元化検討会でも議論されたが、結論は得られず、報告書には「専門的な検討の場を別途設け、引き続き、検討を行うことが適当」とされた。
3月に閣議決定した消費者基本計画も、これを踏まえて個別課題として検討対象になっていた。
ただ、ネット上の表示は広告といった側面があるため、景品表示法や特定商取引法なども関わってくる。今のところ義務化など法的規制の話はなく今後の議論次第だが、規制がかかれば食品事業者にとっては負担になる可能性があり、実行可能性など十分な検討が必要になるともいえる。
この日の会合では大手を中心に食品の情報提供を行っている企業は多いとの声もあったが、一方でネットではニーズも様々であり、情報の順位付けや重み付けをどうするかとの意見や、年代による必要な情報の違い、メーカーから販売などに至る情報の流通が必要との意見もあった。
【写真=初会合で挨拶する湯川剛一郎座長(4日、東京・港区)】