機能性表示 関与成分検討会始まる 10月に報告書(2016.2.11)
消費者庁は1月22日、「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」の第1回会合を都内で開いた。今後、月1回の頻度で全10回の会合を開き、10月ごろにも報告書を取りまとめる計画だ。主な検討課題は①栄養成分の取扱い②機能性関与成分が明確ではない食品の取扱い──の二つ。今月16日に開く第2回会合でさっそく「論点整理」に入る。ただ、初回会合では検討課題に関する実質的な議論はほとんど見られなかった。
議論の結果次第でビタミン・ミネラルや糖類などの栄養成分のほか、ローヤルゼリーやプロポリス抽出物、プラセンタエキス末などといった現在のところ機能性関与成分が明確でない素材が機能性表示食品に活用できる可能性が出てくる。
初会合で消費者庁は今後の検討スケジュール案を提示し、第4回会合以降で、①安全性の確保②機能性の表示③食品表示制度としての国の関与──についてそれぞれ検討していく計画を予め示した。検討会を主催する同庁としては、機能性関与成分の制度規定を見直し、対象を拡大していく方向が念頭にあるとも考えられる。
仮に、栄養成分や機能性関与成分が明確ではない素材を対象に加える場合、機能性表示食品を規定する内閣府令「食事摂取基準」で定められた機能性表示食品の定義(第2条)などの見直しも必要になる見通し。その場合、厚生労働省や農林水産省など関係省庁とのすり合わせが求められる。
この日は初会合とあって、各委員が新制度やその運用状況に対する見解などを思い思いに述べるにとどまった。ただ、食事摂取基準の策定に携わった吉田宗弘委員(関西大学科学生命工学部教授)は栄養成分にについて、「非常に種類が多い。成分ごとの峻別(を行った上での検討)が必要」と意見。同庁も、対象になり得るかどうかを成分特性ごとなどに選別した上で検討を進めたい考えを示唆した。
また、国立医薬品食品衛生研究所薬品部長の合田幸広委員は、機能性関与成分が明確でない天然物の取扱いを検討するにあたり、「品質確保のために使用されている工程管理のための成分と、実際に機能性を持つ成分(の違い)について、よく議論をしなければならない」と述べた。
新制度における栄養成分や機能性関与成分が明確でない素材の取扱いについては、制度設計にあたっての積み残し検討課題とされていた。昨年3月に閣議決定された消費者基本計画は新制度に関し「残された検討課題についても施行後速やかに検討に着手する」旨を定めており、これを受けて同庁は今回の検討会を立ち上げた。検討委員は学識者、消費者団体、事業者団体などから総勢17名。座長は制度設計に関する検討委員も務めた寺本民生・帝京大学臨床センター長が務める。