筋肉”機能でレビュー進む 次の届出受理成分注目(2016.3.24)


 ロコモティブシンドロームやサルコペニアの予防にも重要な「筋肉機能」に対する有効性を研究レビューで検証し、機能性表示食品素材として市場展開しようとする原料事業者が目立ちつつある。「筋肉の維持」など筋肉サポート機能を訴求する機能性表示食品は現状2品目、機能性関与成分としては「ロイシン40%配合必須アミノ酸」が受理されているのみ。次の届出受理成分が注目される。

期待のクレアチン

 クレアチンの摂取に伴う筋肉量の維持・向上作用を評価する研究レビューを、アルツケム社(ドイツ)が製造するクレアチン原料「クレアピュア」を輸入販売するヘルシーナビ、兼松ケミカル、ユニテックフーズの3社(=クレアピュア事務局)が実施し、このほど機能性表示食品の届出様式にまとめた。安全性に関する書類も整えており、届出支援に乗り出す。

 機能性関与成分名は「クレアチンモノハイドレート」とする。クレアチンには構造の若干異なる複数種類が流通しているが、同社らが供給しているクレアピュアはモノハイドレート。レビューの結果、1日当たり推奨摂取量は5㌘となる。

 事務局によれば、レビューで最終的に採用した文献は3報。いずれも日常的に適度な運動を行っている健康な男女を被験者にしたもので、各文献の年齢を見ると、65歳以上、19歳~26歳、50歳以上がそれぞれ1報ずつ。表示しようとする機能性に関しては、「筋肉量の維持・改善」「筋肉パフォーマンスの改善」といった表現を盛り込む見通しだとしている。

 筋肉増加作用が知られるクレアチンの機能性表示をめぐっては、欧州食品安全委員会(EFSA)が、「短期間、高負荷の反復運動における身体能力の向上」について1日当たり3㌘の摂取でヘルスクレームを許可。またEFSAは、アルツケム社が新たに申請していた「55歳以上成人における筋肉トレーニング成果を強化する」のヘルスクレームについても因果関係を認める評価を下しており、許可が近いと見られている。

 クレアピュアの日本市場での需要動向を見ると、プロスポーツ選手を中心に幅広く利用されている一方で、一般消費者に対しては、需要開拓の余地が大きく残されていると考えられる。今後、機能性表示食品として市場普及を図ることで、「マラソン、ランニングの愛好者や筋肉を落としたくない人など、一般層に広げていきたい」(同事務局)と話す。

HMBでも動き

 小林香料㈱(東京都中央区)は、原料供給するHMBカルシウムの研究レビューをまとめ、機能性表示食品制度の届出支援に乗り出している。また、同レビューを用いた自社製品を機能性表示食品として昨年9月に届出し、今年5月末までの届出受理を目指している。16日、都内開催のセミナーで発表した。

 自社製品の届出書類では、機能性関与成分名は「HMB」、表示しようとする機能性は「筋肉量や筋力の維持」。

 研究レビューはHMBの筋肉量や筋力の増加、維持作用で文献検索。最終的に採用できた査読付き臨床試験論文5報で、レビューを実施した。

 その結果、1日あたりHMB1.2㌘(HMBカルシウムとして同1.5㌘)の摂取により、筋肉量や筋力の低下抑制作用(筋肉量や筋力の維持作用)が確認された。またHMB2.4㌘(HMBカルシウムとして3㌘)の摂取では、体脂肪の減少作用も認められた。

 同社では、この研究レビューで機能性表示食品に対する届出支援を始めるとともに、自社製品で届出を行い、実績を作ることでメーカーがより利用しやすい環境を整える。

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