エキス等、一部制度対象へ 機能性関与成分検討会(2016.8.11)


 機能性表示食品制度について消費者庁は4日、「機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」の第7回会合を開き、委員は機能性関与成分が明確でないものの取り扱いについて検討した。議論は、2月の第2回会合で合田幸広委員(国立医薬品食品衛生研究所)が提案した「クラス分け案」を軸に展開され、クラスⅠおよびⅡに分類されるようなエキス(抽出物)を制度対象に加える方向でまとまりつつある。対象拡大に伴い業界には、原材料、最終製品ともに、品質管理を巡る届出情報の強化や一層の厳格化が求められそうだ。

品質管理 要求レベルさらに高く

 合田委員が提案していたクラス分け案は次の通り。

 クラスⅠ「機能性のエビデンスが取られた天然物あるいはそのエキスにおいて、品質管理のための指標成分と機能性に明らかに関連はあると考えられるが、示された機能性の全てを説明するものではない場合」、クラスⅡ「同じく品質管理のための指標成分に、機能性といくらかは関連性があると考えられるが、その指標成分とは異なった多数の成分もその機能性と関連があると推定される場合」、クラスⅢ「同じく品質管理のための指標成分に機能性と関連性がほとんどない、あるいは関連性がない場合」

 日本通信販売協会の宮島和美委員はこの日、関与成分が明確でない食品の制度対象化に向けた対応案を用意し、㈱ファンケルの寺本祐之氏が説明。安全性・機能性に関するデータと原材料が同等であることを確認できれば、現行制度に則った管理が可能だとしたうえで、原材料の同等性を示す届出情報の一層の拡充や、製造管理方法の具体的な提示などを伴う「届出項目の強化」と、業界自らによる「事後チェック制の導入」を条件に、関与成分が明確でないものの対象化を要望した。

 寺本氏は、関与成分が明確でないものの具体例として「植物エキス等」を挙げ、それらは①機能性データがあり、機能性を持つ成分が全てではないが部分的に特定されているもの②機能性データはあるが機能性を持つ成分は不明であるもの──の2つに分類できるとした。このうち②については、「設定された指標成分の妥当性の確認が必要」になるとして、専門家による検討機関の設立と「審査制」を条件にした対象化を提案した。

 寺本氏が①の例として挙げたのは、機能性のある成分および定量・定性が可能な成分としてサポニン類が特定されているオタネンニンジン(高麗人参)抽出物、②は冬虫夏草抽出物。また、これまでの会合で合田委員がクラスⅠとして例示していたのはセンナやイチョウ葉エキス、Ⅱは甘草抽出物、Ⅲはローヤルゼリー。②はⅢに相当するものとも考えられるが、機能性研究などの進展により②は①に、ⅢはⅡに分類されるようになる可能性もある。

 一方、仮に植物エキス等も制度対象に加えることで、品質管理などに関する届出情報が現行のガイドラインなどよりも拡充された場合の受理済み届出への対応について、消費者庁は「追加資料を変更届として提出してもらうことも考えられる」と述べた。

 この日の会合では、関与成分が明確でないものを制度対象にする場合の範囲についても話し合われた。農研機構の山本(前田)万里委員は生鮮食品について「農産物の規格を作る上で機能性関与成分は重要な指標。それが分からないものは規格化できない」と述べ、対象化は困難との認識を示した。

 また、合田委員はサプリメント以外のその他加工食品について「最終商品でエビデンスが取られているものに限るなどしないと、品質管理の話が複雑になる」と指摘。錠剤・カプセル型のサプリメントの品質管理は「ある程度(分析に関する)経験があるため議論が可能」だが、「加工食品にはありとあらゆるものがあるため、(特に研究レビューを届け出る場合について)分析方法をどうするのかという議論を行う必要が出てくる」などと語った。

 検討会は全10回が予定されており、次回、第8回会合は9月1日に開催予定。消費者団体代表委員などから制度対象化に反対意見が多い、ビタミン・ミネラルなど栄養成分の取扱いについて最終的な議論が行われる見通し。

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