英LGC 食品アンチドーピング認証 (2016.12.22)
英国LGC社と㈲バイオヘルスリサーチリミテッド、㈱ドームは15日、都内で会見を開き、バイオヘルスリサーチ社を日本総代理店として、LGC社の食品アンチ・ドーピング認証プログラム「インフォームドチョイス」事業を開始すると発表した。食品のアンチドーピング認証は、JADA(日本アンチ・ドーピング機構)が行っているが、検査と認証を受けられるのは事実上、特定の大手企業に限られていた。海外で認知度が高いLGCが業務を開始したことで、検査・認証を目指す企業が増えそうだ。
LGC社(ラボラトリー・オブ・ガバメント・ケミスト)は、1842年に設立された試験・分析の専門会社で、食品や農業、環境、薬剤関係などの各種分析ほか、WADA(世界アンチ・ドーピング機構)が指定した禁止物質の食品分野での分析、アンチドーピング認証を行っている。
これまで各国のアンチ・ドーピング機関や競技団体、スポーツサプリメーカーなどから分析委託、認証を行っており、海外の約120社が商品認証を受けている。
国内ではスポーツウエアやサプリメントを販売するドームが、今年9月からJADAの認証からLGC社の認証に切り換える作業を行っており、11月に国内企業として初の認証を取得している。
バイオヘルスリサーチ社は、GMP認証の監査や健康食品やサプリメントのコンサルティング業務を行っている会社で、ドームの「インフォームドチョイス」プログラム認証取得のサポートをしている。
日本での認証業務開始について、LGC社のテレンス・オローク事業開発部長は、「2012年に英国で実施されたアンチ・ドーピング試験では、陽性判定のうち44%がサプリメントに含まれていた禁止物質だった。サプリメントのアンチ・ドーピングの取組みは非常に重要」とした上で、「われわれの認証プログラムは、国際的にも認知度が高く、多くの実績がある。日本で認証を始めることで、分析を受けたいと思う企業は誰でも受けられるようになるだろう」としている。
LGC社およびバイオヘルスリサーチ社によると、「インフォームドチョイス」プログラムの費用は、認証製品1~2品目の場合、1品目あたりの登録費が約26万円、認証後も継続的に月1回実施する分析試験(ブラインドサンプル分析)費が、1回あたり約7万3500円、年間認証維持費19万2000円としている。登録製品数がこれより増える場合は、費用は1~2品目ケースよりも低くなる見通しだ。
分析は最低5サンプル(3ロット)で行われ、同化剤、興奮剤、β-遮蔽剤、利尿薬、隠蔽剤、β-2刺激剤、麻薬など化合物質の種類ごとに分析される。
製造評価は、製造と品質管理の両工程をチェックする仕組みで行われ、登録製品の全ての成分調査、完成品と原材料のトレーサビリティ、製造施設内で使用した全ての原材料調査、洗浄工程の調査などが実施される見込み。製造工程のチェックは、バイオヘルスリサーチ社が行う予定だ。
【写真=英LGCオローク事業開発部長】