「機能性」広告違反 9社に課徴金 7社対象外 (2018.1.25)
機能性表示食品の広告に景品表示法違反(優良誤認)があったとして昨年、消費者庁から措置命令を受けた16社のうち9社が19日、総額1億1000万円余りに上る課徴金の支払いを同庁から命令された。同社の発表によると、1社あたり課徴金額は最大4893万円、最少263万円。1000万円以上の支払いを命じられたのは3社に及ぶ。
景表法が禁じる優良誤認および有利誤認の認定と、同法に基づく課徴金納付命令は事実上一体化して運用されている。景表法に課徴金制度が導入された昨年4月以降、食品関連事業者に課徴金が命じられたのは、特定保健用食品の関与成分をめぐる優良誤認表示に伴う昨年6月の納付命令に続き2例目。前回は、1社が計5400万円余りの支払いを命じられた。
一方、機能性表示食品の広告をめぐり昨年11月に措置命令を受けた16社のうち7社は、課徴金納付命令の対象外となった。理由について同庁表示対策課は「要件に満たなかった」などと説明しており、同庁の調べで7社の表示違反期間中の売上額は5000万円に満たなかったと判断されたとみられる。
景表法の課徴金制度は、課徴金対象期間の売上額に3%を乗じた金額の支払いを命じ、国庫に納付させる仕組み。ただ、課徴金額が150万円未満だったり、相当の注意を怠ったわけではないが不当表示であることを知らなかったと認められたりした場合は命令できない。
同庁の発表によると、今回課徴金の支払いを命じられたのはオンライフ▽協和▽ステップワールド▽テレビショッピング研究所▽Nalelu▽日本第一製薬▽ハーブ健康本舗▽ピルボックスジャパン▽やまちや──の9社。措置命令を受けた太田胃散、スギ薬局など7社は対象外となった。7社のうちニッセンは、措置命令を受ける前に購入額の全額返金措置を講じていた。
消費者庁「これで処分終り」
同庁は今回の課徴金支払い命令をもって調査を終える考え。同庁表示対策課長は、「これをもって一つの区切りとなる。命令などを打たなければならないものは、これで終わり」と話している。
広告内容が届出表示を逸脱しているなどとして、同庁が昨年11月7日に下した機能性表示食品で初の措置命令をめぐっては、措置命令を受けた企業の多くが、処分を受ける前から自主的に優良誤認表示の事実を認め、日刊紙に「おわび広告」を掲載するという極めて異例の経緯を辿った。
また、措置命令後には風評被害が発生。同庁による報道発表の一部を切り取った報道の影響を受け、機能性関与成分そのものに効果がなかったとの誤解が生まれた。これにより、措置命令を受けていない企業が消費者からの相次ぐ返品・返金要請に追われるなど、対応に苦慮する事態となった。