グーグル 検索アルゴリズムを変更 健食ネット通販に影響か
(2018.1.25)
グーグルが昨年12月に行った医療・健康分野向け検索アルゴリズムの変更が、健康食品やサプリメントのインターネット通販事業に影響を与えそうだ。関係者によると、科学的根拠や権威ある医師、専門家のコメントが掲載されていない、文字数が少ない、ページ読み込み速度が遅い―などのウェブサイトは検索の上位に表示されなくなるという。
グーグルは昨年12月6日、「医療や健康に関連する検索結果の改善について」と題する公式発表を行い、日本語検索におけるページの評価方法をアップデートしたと表明した。これは、グーグルで検索した場合に、検索で“引っかかる”サイトを選定するためのアルゴリズムを変更するというもの。
この分野に詳しいディテイル・クラウド・クリエイティブ(DCC)の南雲宏明社長によると、DeNAの医療サイト「WELQ」(ウェルク)の掲載記事問題を契機に、「グーグルが根拠の薄弱な内容を掲載している医療・健康サイトを検索の上位にこさせないよう、アルゴリズムを変更した」という。「具体的には、権威ある医師による裏付けのない、あるいは科学的根拠が十分ではない内容を記載する医療・健康サイトは、検索の上位にランクされなくなる」(同)という。
前述のグーグルの公式発表によると、今回の変更によって、1日数百万件ある医療・健康分野の検索の約6割が影響を受けるとしている。
南雲氏によると、グーグルは検索アルゴリズムの変更を頻繁に実施しているが、公表しない場合も多く、「公表したということはそれだけ大きいということ」と指摘する。「その中でも今回の医療・健康サイトの検索アルゴリズムの変更は、我々SEO業界関係者の間では相当に大きな出来事と見られている」と説明する。
SEOとは、グーグルのような検索エンジンにおいて上位に表示されるように、ウェブサイトの構成や内容を最適化することの意味で、「Search Engine Optimization」(サーチ・エンジン・オプティミゼーション)の略語。これを専門とする企業も多数あり、南雲氏も同分野で20年以上のキャリアを持つ。仕事上、グーグルや他の検索エンジンのアルゴリズム変更を常にウォッチしているという。
低品質サイト対策を強化
なぜグーグルはこうした動きに乗り出しているのか。南雲氏は「グーグルがここ数年取り組みを強化している低品質サイト対策の一環」と語る。「グーグルは分野を問わず、コピーペーストのような二次情報が載るサイトが検索の上位に表示されることを嫌っており、すでにここ2~3年、そうならないようにアルゴリズムを頻繁に変更している」という。その中で医療や健康、法律などの関連サイトは、DeNAのWELQの記事に象徴されるように、科学的根拠が不明だったり、データがコピー引用した二次情報など、問題とされるサイトが比較的多い分野のため、今回の検索アルゴリズムの変更が実施されたと南雲氏は説明する。
そして、この流れはネット通販分野の強化に取り組む健康食品やサプリメント業界に「大きな影響を与える可能性がある」(南雲氏)という。南雲氏によると、SEO業界関係者の間では、ネット通販サイトなどで検索ランクがひとつ下がるだけで、売上高で10%程度の影響が出るといわれているという。それだけ消費者は利便性を求め、信頼性で判断しているということだ。「今回のアルゴリズム変更でそもそも上位に表示されないとなれば影響は大きい」という。
どう対策に取り組む?
では健康食品・サプリメント分野では、どのような対策を取ればよいのか。南雲氏は当面の対策として、①コピーペーストを極力避ける(信頼性の向上)②字数を多くする③ページ読み込み速度を上げる―の3つを挙げる。
①は、権威ある医師や専門家(その場合は略歴も十分量を記載)のコメントを掲載したり、オリジナルデータを充実させる、ユーザーの“生の声”を多数など載せるなど、サイトの信頼性を向上させることが必要という。
これに関連して、②は5000字以上が望ましいという。字数も表示条件に設定されており、年々増加しているという。③は今年1月18日に表示条件とすることが発表されている。