コラーゲン 久々の届出受理 15年4月以来 (2018.2.8)


 コラーゲンペプチドを機能性関与成分にした機能性表示食品の届出が久々に受理された。制度施行初年度以来のことで、ようやく2件目。待望の受理に関係者からは、安堵感とともに、「起爆剤になれば」と復調傾向にあるコラーゲンペプチド市場の一層の盛り上がりに期待を寄せる声が聞かれる。

 「魚由来低分子コラーゲンペプチド」を機能性関与成分にした届出が、先月25日にあった届出情報更新で公開された。前回の届出受理は、15年4月21日にまで遡る必要がある。最初の届出以降、複数の企業が届出資料を消費者庁に提出。その後やり取りが繰り返されていたものの、受理されていなかった。

 今回届け出たのは江崎グリコ。冷えによる皮膚表面温度の低下軽減機能を訴求するモノグルコシルヘスペリジンも同時に機能性関与成分にしたもので、魚由来低分子コラーゲンペプチドで届け出たヘルスクレームとともに、ダブルで機能性表示を行う。

 前回のコラーゲンペプチドの届出では、ヘルスクレームは「膝関節の曲げ伸ばしを助ける機能があります」。一方、今回は「肌の水分量を保持し、肌の潤いに役立つ機能があることが報告されています」であり、コラーゲンの機能性として一般消費者にも幅広く知られる肌への働きを謳うものとなった。

 公開された届出資料によると、研究レビューを実施したのはコラーゲンペプチド製造販売大手の新田ゼラチン。届出商品に配合、また、研究レビューに採択した2報の臨床試験論文で使われているコラーゲンペプチドは、同社製のフィッシュコラーゲンペプチド「TYPE‐S」という。

 「機能性表示食品制度は(許認可制ではなく)届出制であることはよく知っているが、当社製品(TYPE‐S)のエビデンスが一定認められたものと捉えている」。今回の届出受理を受け、新田ゼラチンの担当者はこう話す。「コラーゲン市場は決して小さくないのだから、原料メーカーとしては、どうしても受理されたかった。エビデンスのないものを製造販売してきたわけでは決してないことを証明する必要がある」とも言う。

 新田ゼラチンは今後、TYPE‐Sの販売にあたり、顧客の要望に応じて今回届出が受理された研究レビューを提供していきたい考え。「コラーゲンペプチドは1日あたり5㌘以上の摂取で有効性が認められるのが一般的だが、今回の研究レビューではその半分の2500㍉㌘で有効性が確認された」(同)と言い、研究レビューの利用価値の高さをアピールしている。

繰り返された差し戻しが一転
 「もう無理だと思う。コラーゲンペプチドが機能性関与成分では通らない」。コラーゲンペプチドの届出をめぐっては、関係者からこのような声まで聞かれていた。それほどまでに差し戻しが繰り返されていた。

 届出書類を確認する消費者庁が考え方を変えたのは明らかといえそうだが、今回受理された届出では、魚由来低分子コラーゲンペプチドについて、「魚を原料とした平均分子量が1000以下になるまで細かく分解されたコラーゲンペプチドのこと」と定義のようなものを届出表示内で説明する異例の対応を取っている。また、作用機序については次のように考察している。

 「現時点で、肌水分量に関する作用機序を説明できる活性成分はコラーゲンペプチド中に含まれるPro‐HypやHyp-‐Glyなどが主な候補成分と考える。しかし、コラーゲンペプチドは多様なペプチド種の集合物である。血中に移行し、実際の組織で効果を発揮する活性成分は未だ知られていないものが他にも存在し、分解物や修飾物も含めた包括的な関与があると考えることが妥当である」
 Pro‐Hypとはプロリンとヒドロキシプロリンが結合したジペプチド、Hyp‐Glyとはヒドロキシプロリンとグリシンが結合したジペプチドのことだが、まるで、機能性関与成分が明確だとは言い切れない植物エキスの作用機序を考察しているかのような内容と言えそうだ。ちなみに、新田ゼラチンのTYPE‐Sは、それらのジペプチドの総含有量を規格化している。


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