鬼北町産青柚子を丸ごと 特殊加工で含有成分壊さず (2018.3.8)
愛媛県鬼北町産の「青柚子」を原料にした健康食品用原材料を受託製造大手のアピが開発し、今春からOEM供給を始める。特殊な加工機器を使い、青柚子に含まれる成分を丸ごと摂取できる粉末にした。未成熟の青柚子は、熟した黄柚子と比べてヘスペリジンなどフラボノイド類の含有量が多いという。粉末清涼飲料やスムージーなどでの最終商品化を提案する。2月22日に発表した。
アピは現在、「API,s ODM」をスローガンに掲げ、市場で差別化できる高付加価値製品の企画・提案から開発・製造まで力を入れている。その一環として、独自原材料の開発にも注力。今回の新製品では、独自の食品加工技術を施した「こだわりの国産素材」として打ち出す。
高知県、徳島県に次ぐ柚子の産地である愛媛県の協力も得ながら「青柚子まるごとCDM粉末」を開発した。CDMとは、粉末加工に必要な乾燥と粉砕を同時に実行できる特殊な食品加工機器「セントリドライミル」のこと。これを使い、青柚子の果皮から果実、種子まで全てに含まれる栄養・機能成分を壊さずに粉末化する。
同社はCDMを4年前に設備導入。乾燥と粉砕を同時に行うため、作業工程を大幅削減できると同時に、原材料の風味・色調をそのまま保持▽きめの細かい微粒子粉末の製造が可能▽熱に弱い機能性成分・栄養成分でも壊さず粉末化できる──などといったメリットがある。
同社によると、愛媛県の南西に位置する鬼北町は、環境に適しているため柚子の栽培が盛んで、年間生産量は県内全体の3割ほどを占める。また町全体で化学肥料や農薬を使用しない栽培方法に取り組んでおり、「果汁はもちろん皮まで安心して使用できる」(事業戦略室)。原料調達についても、同社が現地農家から直接買い付けることで「詳細な産地情報、生産者情報などの販促ツールの支援にも対応できる」(同)という。
競合他社と差別化できる独自素材をめぐり同社では、これまでに有効成分を規格化した「沈香葉エキス」などを開発し、機能性の高さを訴求してきた。一方、今回の新製品では、青柚子に含有する栄養・機能性成分を丸ごと摂取できる「ホールフーズ」としての魅力を強く提案する方針だ。
また、機能性評価も進めており、愛媛大学農学部が行った研究では、これまでにIgE産生抑制作用や脱顆粒抑制作用が確認されていると言い、抗アレルギー作用が期待できる。また、同社で抗炎症や美白に関連した機能性評価も進行中。機能性を付加した国産ホールフーズ原材料に成長させる狙い。
【写真=原料となる愛媛県鬼北町産の青柚子(写真提供アピ)】