スーパー大麦 農薬検出で市場打撃か 40万個超の商品回収に発展(2018.4.12)
市場規模を順調に広げてきたオーストラリア産の大麦、通称「スーパー大麦」に急ブレーキが掛かりそうだ。輸入ロットの一部に農薬成分が検出された問題は、最終商品の回収騒動に発展している。10日夕方時点で食品大手を含むメーカー5社が自主回収を発表しており、今後、風評被害を含めた影響の広がりが懸念される。
今回問題となった、オーストラリアから輸入された大麦品種は、伊藤忠商事を輸入元に、西田精麦が加工、繊維大手の帝人が国内販売窓口として展開している「スーパー大麦・バーリーマックス」。
農林水産省の3日の発表によると、先月26日に同大麦使用の販売前のサンプル品から、殺菌剤として用いられる農薬のアゾキシストロビンが食品衛生法上の基準値0.5㍉㌘/㌔㌘を超える2.0㍉㌘/㌔㌘を検出したと伊藤忠商事から報告があり、同省が同大麦現品での分析を指示した結果、同成分が2.5㍉㌘/㌔㌘含まれることが判明、同大麦の流通の差し止め・回収を指示した。
農水省の発表当日に、日清シスコが同大麦使用のグラノーラを約31万パック、翌4日には日本ルナがヨーグルト約13万個を自主回収した。その後も小川生薬、バブルスター、九州薬品工業の3社が回収を発表するなど事態が広がっている。
帝人では、「現地のオーストラリアでは大麦の栽培にこの農薬を使用していないと報告されている」(広報)と困惑している様子で、同成分混入の原因究明を急いでいる状況だ。
農薬が検出された当該ロットではない原材料の供給を受けていた先では、自主回収には至らないとしてホームページなどでアナウンスするケースが複数見られるが、取引先への説明など対応に追われているようだ。「今後どのようなかたちで影響が出るのか。風評被害が心配」との声が聞かれている。
農水省では、同農薬成分検出の原因究明を伊藤忠商事に指示、今月27日までの報告を求めている。「このような事態に至った経緯などを総合的に判断して、最終的に指名停止の期間を決める」(貿易業務課)といい、食衛法違反は確実であることから1カ月以上の停止期間の処分が下されるとみられている。