抗加齢協会 届出事前確認 受付開始へ (2018.4.26)
日本抗加齢医学会の姉妹団体「日本抗加齢協会」が、会員企業対象に行う機能性表示食品の届出事前確認の受付を、来月5月中を目途に始める予定だ。業界団体などによる事前確認は、届出確認の迅速化を目的に、消費者庁が新たに導入した仕組み。届出書類に多い軽微なミスなどを「前さばき」してもらうことで、不備指摘の回数を減らしたい考えだ。ただ、初の試みでもあるため効果は未知数。日本健康・栄養食品協会でも来月から事前確認の受付を始める。
迅速化期待も未知数多く
日本抗加齢協会は、事前確認のチェックポイントや進め方について「前例がないため始めてみないと分からないところが多い。消費者庁の考えをもっと聞く必要もある」(細山浩事務局長)としており、現時点では流動的。実際に対応しながら検討していく部分も多そうだ。ただ、スキームとしては1次点検と2次点検の2段階点検方式を採り、届出に精通する専門人員を確認作業に充てることは決めている。
また、「エビデンスの内容など届出の中身にまでは踏み込まない」(同)と言い、あくまでも形式的な不備確認にとどめる考えをみせている。一方で、「できるだけのアドバイスはしたいと考えている」(同)とも話す。
同協会によると、1次点検では、届出ガイドラインの「届出資料作成に当たってのチェックリスト」(別紙様式Ⅱ)に準じた点検を行う。これにより、「誤ってチェックしていたり、チェックされていても当該資料の記載が異なっているなどの事態を防止する」。
一方、2次点検では、1次よりも踏み込んだ点検を行う。同協会はこれまでに研究レビューの受託や届出相談など届出支援を会員企業対象に手掛けており、そこで得たノウハウを生かしたい考え。2次点検には3~4名の人員を充て、最終的に「委員長」の承認を得たうえで事前確認が終わる流れになる見通し。
また、事前確認の受付から回答までの期間については「10日前後と考えている」(細山事務局長)という。
料金については1次20万円、2次60万円。今後変更される可能性もあるが、1次と2次両方を依頼すれば届出1件あたり80万円の費用が必要になる。これについて同協会は「これまでの届出支援の状況を踏まえ、適切な価格と考えている。事前確認のために人員も増やした」(同)と話す。
業界団体などの事前確認が行われた届出を消費者庁が把握できる仕組みも、先月28日の第3次届出ガイドライン改正に伴いつくられ、運用が始まっている。しかし当然「フリーパスというものではない」(同庁食品表示企画課)ため、事前確認された届出も従来通り同庁が確認した上で受理する。
同庁は現在、届出資料を受け取ってから回答するまでの処理期間を最大55日間に設定。一方、同協会は事前確認期間を10日間前後と見込むことから、事前確認の効果は差し引き45日間前後よりも短い期間で同庁から最初の回答を得られるかどうかで、ひとまず判断できそうだ。
一方で、事前確認によって不備が大きく減ったとしても、同庁が届出資料の形式確認を踏み込んだ形で続ける以上、〝迅速化〟につながるかどうかは未知数といえる。
業界団体などによる届出事前確認の仕組みの導入は、昨年6月に政府が閣議決定した規制改革実施計画で決まった。届出事前確認団体としては他に、日本健康・栄養食品協会が名乗り上げている。この2団体に限定されているわけでなく、今後、他の団体も乗り出してくる可能性もある。
日健栄協は来月7日から
日本健康・栄養食品協会(日健栄協)は23日、機能性表示食品の届出事前確認の受付を来月7日から始めると発表した。当面の作業は専門的知識を持つ6~7名で対応し、原則2週間で事前確認結果を通知したい考え。ただ、日本抗加齢協会と同様、日健栄協としても初の試み。流動的な部分も多そうだ。
日健栄協によると、事前確認には、消費者庁の助言も受けながら日健栄協で独自に作成したチェックシートを使う。これまでの届出支援事業で得たノウハウも生かす。事前確認の範囲は「届出資料の形式のみ」で、「(消費者庁に)受理されることを保証するものではない」が、事前確認を経ることで「差し戻しの回数を減らせれば」(機能性食品部)という。
料金は協会会員35万円(税別、以下同じ)、非会員70万円。非会員価格は、会員は年会費を支払っていることを考慮に入れて決めた模様だ。一方、事前確認での不備を修正した届出に対して再度事前確認を行う「再点検(2回目以降)」についても、会員30万円、非会員60万円の費用を請求する。
料金に対する見方は企業ごとに異なりそうだ。ただ、差し戻しまでの期間短縮や、差し戻し回数が減少したりといった目に見える成果が出ないと、日健栄協にせよ日本抗加齢協会にせよ、届出者から厳しい判断を下されることになる。