DgS業界 管理栄養士の活用強化へ (2018.5.24)
ドラッグストア業界が管理栄養士の活用強化に向けた検討に乗り出す。近く、業界団体の日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)でプロジェクトを立ち上げ、国家資格でもある職能を十分発揮できているとは現状では言い難い、管理栄養士の業務支援策の構築や資格手当などの検討を進める。管理栄養士の活用強化を実行することで、「業界10兆円産業化」を目指す施策の一つとして業界全体で取り組む方向の、ドラッグストアにおける「食と健康」新カテゴリー市場創出の実現に向けて加速していきたい考え。
JACDSで検討プロジェクト
ドラッグストア業界やJACDSはここ数年、機能性表示食品など保健機能食品や、いわゆる機能性食品などヘルスケア食品で構成する、新たな「食と健康」カテゴリー市場の創出を目指す取り組みを進めている。関連商品を部位別・目的別などで構成することで、商品選択がよりしやすい棚を全国のドラッグストアで展開していく計画。これにより、生活者の健康をめぐるニーズや悩みに応えていく狙いがある。
その中で、食事や栄養に関する専門知識を持つ管理栄養士を活用していくことが必要不可欠と判断。食と健康カテゴリー商品の選択の仕方や使用法などに関する適切な知識、情報を、商品表示やPOPといった視覚情報以外の面からも来店客に直接伝えていくためだ。そうしていくことでより健全な市場育成を図ることもできる。
ドラッグストアに勤務する管理栄養士の数も今後大きく増やしていく計画だ。現在でもドラッグストアには管理栄養士資格を持つ従業員が一定数勤務しており、JACDSによると、その数は業界全体で推計1万~1万2000人。それを「一つの目標として2025年までに10万人」(宗像守事務総長)まで増員したい考え。
JACDSでは、管理栄養士や栄養士の職能団体「日本栄養士会」との間で協力関係を構築することも模索している。ドラッグストアに対する理解が深まらなければ管理栄養士の人材確保もおぼつかないといえ、栄養士会との良好な関係構築は不可欠。加えて、食品機能に対する理解を深めてもらうことも必要不可欠になるといえ、栄養士会との関係構築が今後を左右しそうだ。
管理栄養士の活用強化に向けた検討プロジェクトは、JACDSの設立20周年記念事業の一つである「ドラッグストア成長戦略プロジェクト」の一貫として進める。成長戦略プロジェクトでは、「食と健康」市場創出に向けた商品構成や販売方法などを研究し、販売マニュアルを作成するためのプロジェクトも設置する。両プロジェクトを車輪の両輪として、「食と健康」カテゴリーの市場創出を実現するための施策を研究し、実行を目指す。
設立20周年記念事業の実施期間は今年6月1日から来年6月末までの1年間。このうち「食と健康」に関する販売マニュアルは来年3月までにまとめ、ドラッグストア業界で実施していく計画だ。管理栄養士の活用強化に関する施策も、それまでにまとめたい考えだ。
厚生労働省によると、管理栄養士免許の累計公布数は約20万件(2015年12月時点)で、近年では毎年約1万件ずつのペースで増えている。