厚労省 食衛法改正案が成立 13日公布 (2018.6.21)
健康食品による健康被害情報の収集などを盛り込んだ食衛法改正案(食品衛生法等の一部を改正する法律案)が、7日に衆議院で可決、成立し、13日に公布された。厚生労働省は必要な政省令を定めるための本格的な検討に入る。制度化されることになった健康食品の製造・品質管理の具体的なルール、健康被害情報の収集に係る指定成分の選定などが、今後の焦点となる見通しだ。また、営業許可業種の見直しや営業届出制度の創設も、健康食品業界に関係してくるものと思われる。
製造ルール、指定成分など策定へ
15年ぶりの改正となった改正食衛法の法案審議は、参議院先議となり、4月12日に参院厚生労働委員会で審議、即日採決で全会一致で可決。翌13日に本会議で可決された。衆議院では6月6日に厚生労働委員会で審議・採決。翌7日の本会議で全会一致で可決、成立した。参院では附帯決議が付されている。
改正食衛法で新たに盛り込まれた内容は、広域的な食中毒事案への対応(協議会設置)▼HACCPに沿った衛生管理の制度化▼国際整合的な食品用器具・容器包装の規制(ポジティブリスト制度の導入)▼食品リコール情報の報告制度の創設▼営業許可制度の見直し・営業届出制度の創設──など。
健康食品に関しては、「特別の注意を必要とする成分等(指定成分)を含む食品による健康被害情報の収集」の仕組みが導入されると同時に、健康食品の適正な製造・品質管理が告示により示される。施行期日は2年以内とされている。
健康食品の製造・品質管理については、すでに厚労省の平成17年通知(錠剤、カプセル状等食品の〝適正な製造に係る基本的考え方〟および同〝原材料の安全性に関する自主点検ガイドライン〟)が出されているが、今回の改正で新たに「注意を必要とする成分」(指定成分)の概念が導入されるため、指定成分とそれ以外の成分に対応する製造・品質管理の具体的なルールをどう作るかが、焦点となりそうだ。
指定成分は、食衛法6条、7条の対象になるような直ちに健康被害をもたらすような成分ではないが、「特別な注意が必要な成分」。厚労省は例として、「アルカロイドやホルモン様作用成分のうち、一定以上の量の摂取により健康被害が生じるおそれのある成分」を挙げているが、厚労省では、関係業界とも協議しながら、具体的な検討を進めていく見通しだ。
指定成分の指定は、厚労省の薬事・食品衛生審議会、内閣府の食品安全委員会の審議を経て、パブリックコメントを受け付けた後、厚労大臣が指定するというプロセスになる。
健康被害情報の収集は、収集する情報の範囲や具体的な情報届出方法などを政省令などで定める。医療機関も自治体に情報提供する努力義務が課される。
また、営業許可業種の見直しや営業届出制度の創設も健康食品業界に関係する。現行では34の許可業種が政令で定められているほか、このほかに自治体が独自に「条例許可業種」、「届出業種」を定めており、実態に合わせた施設基準、業種区分の見直しが行われる見通しだ。
施行期日は内容ごとに別々で、健康食品関係やHACCP、食品用器具・容器包装関係は2年以内、広域的な食中毒事案への対応は1年以内、営業許可制度見直し・届出制度の創設および食品リコール報告制度の創設は3年以内となっている。