機能性表示食品 全届出が事後チェック対象 (2018.7.12)


 2日午後に都内で開催された医療経済研究・社会保険福祉協会(社福協)主催の「健康食品フォーラム」で、消費者庁食品表示企画課の課長補佐が講演し、機能性表示食品制度は「事後チェック制」であることを改めて訴え、業界に注意を促した。この日のフォーラムは、「機能性表示食品は今後どうなるか?」のテーマで開催。多くの業界関係者が聴講に訪れた。

 「受理されたら全て終わってバラ色といった雰囲気が(業界に)ある」──課長補佐はこう私見を述べたうえで、機能性表示食品は受理された後も全ての届出が「事後チェックの俎上に乗っている」と注意喚起。事業者がガイドラインに基づき届け出た内容の信ぴょう性、機能性関与成分含量が表示値通りかなどの品質管理をはじめ、エビデンスに基づく表示の範囲なども、届け出た事業者の責任になると釘を指した。

 事後チェック制は、事前届出制と双璧をなす機能性表示食品制度の根幹。業界関係者がそのことを知らぬはずはなかろうが、受理までに何度も差し戻される場合が多い。そのため、受理されたことに安堵し、事後チェックへの意識が希薄化してしまう傾向は実際あると言えそうだ。

 ただ、届出の受理は、業界関係者から「実質審査」とも呼ばれる書類確認を経た上で行われており、形式的に不備のない書類を受け付けた以上の意味合いを持つのも事実。一方で、受理後にヘルスクレームの科学的根拠に関する不備が同庁から指摘され、届出を撤回しなければ景品表示法などに抵触する可能性が示唆される場合もあり、業界関係者からは、「ダブルスタンダードではないのか」と疑問の声も上がる。

 課長補佐はこの日、今年3月に実施した届出ガイドライン第三次改正のポイントや今後の展望について講演。同改正で新たに制度対象に加えたエキス等の運用開始時期については、届出データベース改修後の「来年度を見込んでいる」とし、ガイドラインは事前に示しているため、「1年間の準備期間を経て届け出ていただきたい」と述べた。Q&A(質疑応答集)が無くても届出準備が可能との認識を持っていることを示唆したものと考えられる。

 また、同改正で新たなルールとして盛り込んだ、機能性関与成分の分析方法を示す資料の開示について、一部マスキングが認められているからと言って「真っ黒な〝のり弁〟のような資料を提出しないように注意してほしい」などと述べたうえで、「マスキング対象は極めて限定的」との認識を示した。

 3月のガイドライン改正以降、届出の新規受理件数は大きく減少している。今年度(届出日として4月1日以降、届出更新日として6月1日以降)の受理件数は、9日現在20件にとどまる。今後もこのペースで進めば、今年度の届出受理総数は200件台にとどまり、過去最低となる可能性も考えられる。

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