消費者庁 優良誤認 措置命令2連発 (2018.8.9)

景表法②

 消費者庁は7月下旬、健康食品を販売する通販企業2社に対し、景品表示法に基づく措置命令を連続的に下した。うち1社は、同庁発足以来となる「太るサプリ」を巡る行政処分。商品を摂取するだけで容易に肥満効果が得られるかのように表示していたとし、優良誤認を認定した。もう1社に対しては、昨年にも事例のある豊胸効果表示を巡る措置命令。いずれも調査は同庁表示対策課食品表示対策室が担当した。

「太るサプリ」に初の処分
 ネット通販で販売する「ファティーボ」という食品の肥満効果表示を巡り、消費者庁から7月25日に措置命令を受けたのはLife Leaf(東京都港区)。同社は命令を受ける前の同19日、日本経済新聞朝刊など日刊紙2紙に、同品について、実際のものよりも著しく優良であると示す不適正な表示を行っていたことを認め、謝罪する社告を掲載していた。

 消費者庁は、Life社が自社ウェブサイトや商品同梱チラシで行っていた「太れない体質だとあきらめたくない!」「女性らしい美ボディに! 健康的にふっくらしたい」「3カ月で5.1㌔㌘増えた『7つの秘訣』プレゼント!」──などといった表示を優良誤認と判断。違反認定した表示の期間は、同品発売日の昨年4月3日から今年3月26日まで。

 「2カ月飲めば誰でも太れます」──ここ最近、このように肥満効果を訴求する、いわゆる「太るサプリ」がネット通販で増えている。ダイエット訴求の逆を行き、「ガリガリ体型」に悩む女性や男性に対し、太れる効果を訴求するものだ。

 そんな訴求を行う健康食品の増加が、最近のプロテインの需要増に一部関連しているとの見方もある。一方、ファティーボは、表示を改善した現行の販売サイトによると、「麹から作った酵素」や乳酸菌などを配合したもの。表示改善前のサイトでは、「太れない人の腸内には『痩せる細菌』が多い」とし、同品には「痩せ菌ブロック酵素」が含まれるかのようにアピールしていた。

提出資料 合理的根拠認めず
 一方、ネット通販で販売する「pinky plus」というサプリメント形状の食品を巡り、商品を摂取するだけで誰でも容易に著しい豊胸効果が得られるかのように表示していたとして、7月30日、GROLIA(東京都文京区)が消費者庁から措置命令を受けた。同庁が豊胸効果表示を巡り行政処分を行ったのは、昨年3月に続き2例目となる。

 同庁によると、同社は自社ウェブサイトで2016年9月9から17年9月28日までの間、「10日間でまさかの2カップUP!」「ツイッターやfacebookで話題のバストアップサプリ!」──などと表示していた。同社は、同品に配合したブラックコホシュとバレリアンの2素材を、「2大豊胸成分」などと称していたという。

 消費者庁はLife社とGROLIAに対し、表示の裏付けとなる合理的根拠を示す資料の提出を要求。2社とも提出したが、同庁は有識者に見解を求めたうえで、表示を裏付ける根拠とは認めなかった。2社とも配合素材などに関する資料を提出。それぞれに一定の有効性が報告されていたとしても、表示は行き過ぎだったとみられる。

 また、2社はウェブサイトで商品の体験談を掲載するのに併せ、「※個人の感想であり、効能・効果を保証するものではありません」などと表示していたが、同庁は消費者が強調表示から受ける商品の効果に関する認識を打ち消すものではないと判断。打消し表示を認めなかった。

 Life社は、優良誤認表示を行っていたことを事実上認める社告を事前に掲載しているため、同庁は再発防止を求めるにとどめた。一方、GLORIAは事前の社告を掲載しておらず、再発防止とともに景表法違反があった旨を消費者に周知徹底するよう求めた。ただ、Life社を含め、課徴金納付命令に関する調査が現在進められており、今後、両社に対して同命令が下される可能性がある。

 表示対策課食品表示対策室では、昨秋に室長の人事異動があった。現在の室長は、農林水産省から異動した阿部洋介氏が務めている。

【写真=2社が行っていた表示。消費者庁発表資料より引用】



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