機能性表示食品 届出後分析状況 公開が必要 (2018.9.6)


 消費者庁が昨年度実施した機能性表示食品に関する委託調査・検証事業「届出後における分析実施状況及び健康被害の情報収集」に関し、同庁は先ごろ報告書を公表した。報告書は有識者らがまとめたもので、届出後の機能性関与成分などの分析実施状況がほとんど公開されていないと指摘。現状、公開は任意だが、積極的に情報公開する姿勢を届出企業に求めている。報告書を受け、同庁は今後、届出ガイドラインやQ&Aの改正を検討する見通し。

公開企業わずか 「ニーズがない」
 報告書は全140頁近くに上り、消費者庁ウェブサイトに8月22日公開。岡村和美長官は同29日の定例会見で、報告書の受け止めについて「届出者による必要な取組について検証、検討を行い、必要に応じて機能性表示食品の届出等に関するガイドラインの改正や、質疑応答集に反映させたい」などと述べた。

 報告書によると、届出後分析実施状況の検証では、昨年9月末までの届出1124件を対象に調査。届出資料のうち別紙様式Ⅲ‐3(原材料及び分析に関する情報)の記載内容を、国立医薬食品衛生研究所食品部長ら識者で構成されるワーキンググループで分析した他、届出後の分析実施状況などを調べる目的で届出者へのアンケート調査も実施した。

 アンケートの結果、回答を得た届出953件(事業者数250件)のうち、届出後の分析実施状況を公表していた届出は9件と全体の0.9%。また、今後の公表予定を尋ねたところ「予定がある」は2.9%にとどまり、86%が「予定はない」あるいは「分からない」と回答した。公表予定を明確に否定した割合は、中小・小規模企業よりも大企業のほうが高かったという。

 一方、アンケートでは届出後分析実施状況を行っていない理由も尋ねており、およそ2割が「消費者ニーズがないため」と回答。自由回答欄には「問い合わせがあれば個別に回答する」「問い合わせが」といった声も寄せられ、そもそも消費者が求めていない実態が窺われる結果となった。

 ただ、情報を公表していない理由として最多は「特にない」で、28.7%。「公表すべきだと考えていない」との意見もあり、報告書では、「分析状況の公開の必要性が認識されていない状況が示された」と届出者の姿勢に苦言を呈した。

 報告書では、制度趣旨を踏まえると「届出後の品質管理の適切性は、届出者の責任において自主的に担保することが求められる」ことから、「より積極的な情報公開の姿勢が望まれる」と指摘。その上で、機能性関与成分など分析対象成分の含有量や崩壊時間などに関する届出後の分析結果を、一定期間ごとに公開するよう提言している。

 届出ガイドラインでは、届け出た機能性関与成分や安全性を担保する必要のある成分について、届出後に実施される分析方法を届出資料に適切に記載する必要があることを示すとともに、「設定した頻度に従い分析が行われていることについて、届出者ウェブサイト等で公開することが望ましい」との記載がある。ただし、報告書によれば「公開はあくまでも届出者の任意」。また、ガイドラインには公開すべき具体的な項目について記載していない。

崩壊性の確認 定期実施を提言
 この報告書では、届出資料別紙様式Ⅲ‐3を分析した結果として、サプリメントに関して崩壊性試験に関する記載のない届出が518件中130件存在したとして問題視。「崩壊性試験が行われていないサプリメント形状の加工食品が一定数存在する可能性が示唆された」という。

 ただ、アンケート調査の結果からは、届出後の崩壊性試験の実施状況は「製品ロットごとに1回」との回答が75%に達し、「多くの届出者が適切な頻度で試験を実施していることが分かった」と評価してもいる。

 調査結果を受けて報告書では、届出食品の機能性を担保するために、サプリメント形状の食品に関しては「定期的に崩壊性試験を実施」するよう提言。加えて、「第三者が確認できるよう取り組む必要がある」とし、届出資料には崩壊性試験に関しても明確に記載するよう求めた。

 一方、機能性関与成分の原料の基原確認も必須だと指摘した。届出資料を分析した結果、基原確認については届出者がパターン分析などの分析を実施している場合と、原材料メーカーの試験成績書の確認をもって済ませている場合に大別されたためだ。「原料メーカーに任せるのでなく、届出者の責任において確認することが望ましい」としている。

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