シオノギヘルスケア 健食事業に本格参入  (2018.10.11)


 塩野義製薬の子会社で「セデス」などの一般用医薬品の製造販売を手掛けるシオノギヘルスケアが健康食品事業に参入する。フコイダンなど健康食品素材の開発・製造を手掛けるタカラバイオの健康食品事業を継承するとともに、健康食品通販および原材料販売を行う宝ヘルスケアの全株式を宝ホールディンスから取得し吸収合併する。塩野義製薬と宝HDが先月20日付で契約を締結し、2社同時に発表した。

 来年1月1日付で宝ヘルスケアの全株式を取得するとともにタカラバイオの健康食品事業を承継する。これを受け同2日以降、宝ヘルスケアが通販で展開しているフコイダンなどの健康食品はシオノギヘルスケアとして提供。同様に、事業者向けに販売している明日葉、イソサミジンなどの健康食品原材料などについても、シオノギヘルスケアとして提供されていく見通しだ。

 宝ヘルスケアは先月20日付で「シオノギヘルスケア株式会社との合併に関するお知らせ」を取引先に送付。この中で、来年1月2日以降の法人営業業務は「シオノギヘルスケアとしてご提供させていただく」と伝えた。シオノギヘルスケアは、BtoCの健康食品通販事業と同時に、BtoBの原材料供給事業を手掛けていくことになる。

 ロート製薬が株式の一部(15%)を保有するシオノギヘルスケアは16年1月に設立、同4月に営業開始。一般用医薬品を主力製品としており、18年3月期の売上高は72億4700万円。健康食品に関しては、製造委託先を届出者とする形で機能性表示食品の届出を行っているものの、これまで販売実績はなく、事実上の新規参入となる。

 同社は現在、「超高齢社会に向け、シニア層の健康増進に貢献できる事業の強化を進めている」(塩野義製薬)。その中で、シニア層をコアユーザーとするフコイダンを主力最終製品として取り扱う宝ヘルスケアの吸収合併を通じ、シニア向けの健康増進事業を強化したい考え。業界関係者からは、「(宝ヘルスケアやタカラバイオが取り扱う)独自素材も魅力だったのでは」との見方も出ている。

 一方、健康食品事業を一体として手放すことになる宝グループは今後、経営資源を酒造やバイオ・遺伝子医療の事業に集中させる。

 宝ヘルスケアの株式譲渡金額は非開示だが、健康食品事業を吸収分割する対価として、タカラバイオはシオノギヘルスケアから5億3480万円を受領する予定だ。宝ヘルスケアの役員・従業員23名の他、タカラバイオで健康食品事業に従事する社員の所属については「今後話し合う」(宝HD広報)という。


Clip to Evernote

ページトップ