サプリメント反ドーピング 証明巡り新たな動き(2020.4.9)
味の素と大塚製薬がサプリメントのアンチ・ドーピングの証明に関わる製品分析を国内分析機関に委託したことが分かった。今年2月にドーピング禁止物質分析サービスの開始を発表していた公益財団法人「日本分析センター」(JCAC、千葉県千葉市)に委託したもので、JCACが立ち上げた「アンチ・ドーピングのためのスポーツサプリメント製品情報公開サイト」が3月24日に公開されたことで明らかになった。
両社は販売製品のアンチ・ドーピング性の証明について、これまで日本アンチ・ドーピング機構(JADA)が手掛ける認証プログラム、いわゆる「JADA認定」を通じて認証を受けてきた。しかし、JADAは同プログラムの終了を昨年4月に発表。経過措置期間を設けていたが、それも今年3月末で終わり、その後のアンチ・ドーピング認証を巡る両社の動向が注目されていた。
JCACのウェブサイトによると、同サイトの製品情報公開は、JADAが設置した有識者会議が昨年3月31日にまとめた「スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みに関するガイドライン」に対応したもので、同サイトでは「サプリメント製品を製造する企業が実施した『生産施設審査』及び『製品分析』の結果を公開」しているとする。
4月6日現在、同サイトに公開されているのは味の素と大塚製薬の2社6製品の情報に限られる。味の素は、『アミノバイタルGOLD』『アミノバイタルプロ』『グリナ』など4製品。大塚製薬は『ボディメンテ ゼリー』『ポカリスエット ペットボトル(500㍉㍑)』の2製品で、全てに関して製造所の名称も公開。また、公開された分析結果報告書によると、6製品とも分析を実施したのはJCACとされている。
JCACは今年2月、JADAのガイドラインに対応したドーピング禁止物質分析サービスを開始したと発表。JCACはその際、「10数年のサプリメント製品の分析と実績があります」とアピールしていた。アスリートと交流の深い企業関係者によれば、JCACはJADAとの関係が以前からあり、JADA認定の製品分析を担当していたとみられるという。
JADA認定を巡っては閉塞性を指摘する声も上がっていた。JCACの情報公開サイトに今後、味の素、大塚製薬以外の企業の製品情報も順次追加されていくのかどうか。サプリメントのアンチ・ドーピング認証を巡り日本では、英LGC社と日本代理店が手掛ける『インフォームドチョイス』が信頼性を高め、取得企業・製品数ともに増加し続けているが、日本の分析機関が手掛ける分析サービスは国内企業に魅力に映る可能性もある。今後の動きが注目だ。
【写真=アミノバイタルなどの製品情報が公開されたJCACのウェブサイト】