インバウンド消費6割減 2月のDgS コロナ影響 訪日客急減響く
(2020.4.9)
2月。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で訪日外国人客数が大幅に減少し、全国のドラッグストアのインバウンド消費も大きく落ち込んだ。一方で、ドラッグストアの足元の業績は好調の様子。2月の販売額は2ケタ増の伸びを示している。新型コロナによる混乱や不安が生んだ特需の影響を受けた模様だ。2019年度のドラッグストアの市場規模は4年連続で5%超の伸びを示しているが、市場関係者は「現況を考えると暗澹(あんたん)たる思い」だと沈む。
2月のドラッグストア(DgS)インバウンド消費は前年同月から6割減少した。全国DgSを対象に、POSデータによるインバウンド消費調査を毎月実施しているトゥルーデータが3月31日に発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で2月の訪日客数は前年同月比で58%減少。インバウンド消費の主体だった中国からの訪日客はおよそ9割減少していた。
DgSと同様にインバウンド消費の恩恵を受けていた百貨店も、2月は、全国百貨店協会の調べによるとインバウンド購買客数は前年同月比で68%減少し、免税売上高は前年同月比65%減の約110億円と大きく落ちている。
トゥルー社の調べによると、全国DgSの2月のインバウンド消費購買金額は前年同月比59.9%減。今年は「うるう年」のため1日多かったことを考慮すると61.3%減と急減することになった。DgSの2月の売上高は大手を中心に2ケタ増が目立ったが、消毒液やトイレ紙などを巡るいわゆる「コロナ特需」がインバウンド消費の落ち込みを打ち消したとみられる。
1店舗あたり売上金額は500~600万円程度にとどまり、18年1月以降では過去最低となった。台風21号や北海道胆振東部地震の影響で訪日客やインバウンド消費が大きく減少した18年9月との比較で、半分以下にまで落ち込んだ。
新型コロナ感染症の影響は4月に入っても日を追うごとに深まっており、3月以降は減少幅が一段と深まる可能性が高い。収束後も、世界的に経済が打撃を受けている中では、訪日客が以前の賑わいを取り戻すまでには時間を要す可能性がある。
なお、新型コロナ感染症の影響が広がる中での2月のDgSインバウンド消費は、これまでと売れ筋商品が大きく変わった。トップはフェイスクリームで前の月と同じだが、上位30商品中のうち18商品が前月は圏外だった。7位のビタミンCサプリメント、16位のビタミン含有保健薬、18位の花粉・ウイルスなど付着抑制スプレー、21位のビタミンB主薬製剤──といったウイルス予防関連とも呼べそうな商材が前月圏外から30位以内に躍り出ることになった。