新型コロナ 影響じわり 対面販売チャネルに打撃(2020.4.23)


 新型コロナウイルスが日本経済を大きく停滞させている。健康食品業界にもその影響が徐々に及びつつある。店頭チャネルの一部では、テナントが入居する商業施設の臨時休業に伴い営業が止まっている。緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されたことで、事業活動の停滞感も深まってきた。

 通信販売を手掛けながら直営店を通じた販売も展開している先では、多くの店舗で臨時休業を余儀なくされている。緊急事態宣言を受け、店舗が入居する商業施設が休館しているためだ。

 ファンケルでは4月20日9時現在、48都道県の約200直営店舗が臨時休業。DHCでも、およそ150店の直営店舗が臨時休業しているようだ(21日10時現在)。緊急事態宣言の対象地域が7都府県から全国に拡大されたことで、臨時休業店舗数が増えている。

 全国約4000のショップや、百貨店のコーナーで化粧品や健康食品などを販売しているポーラでも、多くの店舗で臨時休業や営業時間短縮などに対応しているという。

 政府は、感染拡大を抑えるため、人と人との接触を7~8割減らそうとしている。そのため、不特定多数の人と接する業態は休業を余儀なくされている。

 健康食品などの物販も手掛けるエステティックサロンも同様で、業界団体は特定警戒都道府県に指定された自治体で営業している事業者に一時休業を要請。大手のたかの友梨ビューティクリニックでは、全店での臨時休業を決めた。

 「3月末からサロン向けの注文が急減しているという話をあちこちで聞く」と植物発酵エキス健康食品などを取り扱う事業者は話す。エステティックサロンは訪日外国人客の利用も多かったとされ、サロンを訪れる外国人による物販への需要も大きな打撃を受けたとみられる。

 ここ数年でスポーツサプリメントの販売強化の動きが見られていたフィトネスジムも事情は同様だ。

 「スポーツ関係は4月に入ってからまったくダメ。スポーツジムの休業が影響している」と中堅OEMメーカーの営業担当者は言う。スポーツサプリメントは、市民マラソン大会などスポーツイベントに合わせた会場販売も販路の一つだったが、「イベントが全部無くなった。関係者は『開店休業だ』と嘆いている」(別のOEMメーカー幹部)。

 百貨店などに入居する専門店や催事といった販路も苦しんでいる。関西の受託メーカー役員は「もともと割合は少なかったが、百貨店チャネルは(注文が)ストップした。営業していないのだから仕方ない」。百貨店などテナントでの店舗販売部門を持つ受託製造のAFC‐HDアムスライフサイエンスは、同部門の今期売上高の減少を見込んでいる。

 一方で、通信販売は比較的堅調のようだ。「特にネット通販は好調。今でも色いろと引き合いが入る」と話すのは関東の受託製造企業。別のOEMメーカーは、「海外向けはOEMも原材料も動きが鈍っていない」とする。しかし一部受託製造企業からは、主に通販関連の今後の受注計画について、「顧客によるのだが、少し静かになってきた」と懸念の声も上がっている。

 対象地域が全国に拡大された緊急事態宣言によって、事業活動の低下率はさらに高まった。その中で新型コロナの終息時期は未だ見えず、消費低迷が長期化する恐れがある。免疫関連などここにきて需要が伸びている機能性領域も一部見られるが、今後、健康食品の消費意欲が落ち込むことはないか。緊張を強いられながらの事業活動が続くことになりそうだ。



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