19年度コラーゲンペプチド販売量 3年連続増も微増(2020.5.28)
GMJ6社集計
2019年度(19年4月~20年3月)のコラーゲンペプチド販売量は少なくとも5924㌧だった。ニッピや新田ゼラチンなど国内コラーゲンペプチド製造企業6社の販売量を日本ゼラチン・コラーゲン工業組合(GMJ)が集計し、5月18日までに公表した。ルスロ等の海外企業などGMJ非加盟企業の販売量は含まない。3年連続で増加したが、前年度比は1.5%の微増にとどまった。用途別の販売量を見ると、大半が食用とみられる「輸出」が2年連続で減少した。
健康食品・飲料類を主な用途とする「食用」の19年度販売量は5072㌧。前年度比は2.2%の増加だった。プラスは3年連続で、5000㌧台に達するのは2010年度以来となる。14年度は4000㌧を割り込んでいたが、それ以降、コラーゲンペプチドの国内需要は堅調に推移し続けている。
一方で「輸出」は前年度比2.6%減の740㌧と2年連続で減少した。17年度に過去最高の901㌧を計上していたが、翌18年度は760㌧と大幅ダウン。魚由来コラーゲンペプチドの原料不足を受けた出荷可能量の減少が背景にあったとみられており、これが少なくとも輸出に関しては19年度も回復しなかったようだ。
19年度の販売量は3年連続で過去最高を更新する形となった。ただ、伸び率は2年連続で微増にとどまった。その中で20年度は、世界的に拡大した新型コロナウイルスの影響をもろに受けることになる。4年連続の増加を記録できるかどうかは予断を許さない。
その他の用途を見ると「医薬用」は77㌧、「工業用」は35㌧だった。GMJは、会員企業を対象にコラーゲンペプチド、ゼラチンの販売量を毎年調査している。コラーゲンについて19年度の集計対象はニッピ、新田ゼラチン、ゼライス、野洲化学工業など6社で18年度と同じ。
ニッピ、販売堅調に推移 国内、輸出ともに
ニッピ(東京都足立区)が5月22日発表した20年3月期連結決算短信によると、売上高は前期比2.8%減の424億1000万円、営業利益は同123.3%増の18億5600万円と減収増益だった。このうち、コラーゲンペプチドを含むゼラチン関連事業の売上高は同0.4%増の99億7000万円、営業利益は同1.6%増の8億7500万円。コラーゲンペプチドの国内販売がインバウンド需要の増加を背景に堅調に推移したという。
コラーゲンペプチドの輸出も健康食品用途や医療用途で好調だった。「魚原料の不足が解消」しつつあるためだという。同社は、静岡県富士宮にコラーゲンペプチドの新工場を昨夏に竣工、稼働を始めている。旺盛な需要があるコラーゲンペプチドの販売強化を、高付加価値製品を中心に引き続き進める構えだ。
ただ、気がかりなのは豚皮ゼラチンの価格高騰だ。アフリカ豚コレラの影響を受けたもので、20年3月期のゼラチン部門では、輸入販売が大幅に減少した。豚皮コラーゲンペプチドの価格にも影響を及ぼす可能性が高い。
一方、従来ニッピと同時期に決算を発表している新田ゼラチンは、新型コロナウイルスの影響を受けて20年3月期の連結決算発表を延期。同社はインドに連結子会社があり、全土を対象にしたロックダウンの影響を受け、決算業務に遅延が生じている。5月22日時点で決算関連の手続きは完了していないという。