4月の消費・売上調査 消費低迷もサプリ堅調 (2020.6.11)
外出自粛が広がった今年4月の消費・売上高調査結果が出揃った。全体的に消費は停滞しているが、サプリメント・健康食品は堅調な様子が窺われる。ただ、インバウンド消費がほぼ蒸発したドラッグストアは2カ月連続で減少した。
家計調査、大幅な伸び
総務省統計局が6月5日公表した2020年4月分の家計調査(2人以上世帯)によると、1世帯あたり消費支出は26万7922円で、物価変動を除いた実質の前年同月比は11.1%のマイナス。新型コロナウイルス感染拡大で全国に緊急事態宣言が出され、外出自粛や店舗の臨時休業などが広がったことで、消費が大幅に落ち込んだ。そのなかで、サプリメントなど健康保持用摂取品の1世帯あたり消費支出は2ケタ増加し、3カ月連続で前年を上回った。
健康保持用摂取品の4月の消費支出は、1世帯あたり1241円で、前年同月から実質で20.7%増加した。増加は3カ月連続だが、1月、2月の伸び率は実質5~6%台にとどまっており、緊急事態宣言が発令された4月に支出が大きく高まった。
健康保持用摂取品への支出の内訳を世帯別にみると、勤労者世帯は716円で、前年同月から名目で9.3%減少し、前月の同12.1%増からマイナスに転じた。一方で、健康保持用摂取品の主要消費世帯と考えられる無職世帯が大幅に増加。同25.1%増の1597円となり、3カ月連続で増加した。
保健医療関連では、マスクなどを含む保健用消耗品が実質で123.9%増加。他方で、医薬品の1世帯あたり消費支出は2723円で実質1.1%増にとどまった。
4月は外出自粛の影響で〝巣ごもり需要〟が高まった。食料品のうちパスタは実質70.5%増、即席麺は同43.3%、チューハイ・カクテルは同42.1%増などと大きく増加した。また、在宅勤務の広がりでパソコンが同72.3%増加。インターネット接続料が同17.7%増加した。逆に、食事代、背広服、交通費は大きく減少した。
月当たりの1世帯あたり消費支出の前年同月割れは、消費増税が実施された昨年10月から7カ月連続。さらに、11.1%の落ち込みは、比較可能な2001年1月以降で過去最大の減少率とみられる。
緊急事態宣言は今月1日までに全国で解除され、消費の底打ちを期待する見方が上がる。ただ、コロナ禍で失職や収入減が広がっているとみられることから、回復に時間が掛かる可能性も指摘されている。消費抑制の長期化が健康食品・サプリメントの支出に与える影響を注視する必要がありそうだ。
通信販売、約10%増
日本通信販売協会が6月2日発表した2020年4月の通販売上高調査結果によると、健康食品の売上高は前年同月比9.9%増の141億5500万円だった。
プラスは4カ月ぶり。健康食品の売上高が140億円台に達するのは19年12月以来となる。一方、化粧品の売上高は、同3.2%増の155億8600万円だった。前月の2.8%減からプラスに転じた。4月は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて政府が緊急事態宣言を発令したことで、全国的に外出自粛が広がっていた。
調査対象企業は通販協会員企業131社。総売上高は同1.1%増の1183億100万円だった。プラスは2カ月連続。健康食品を除く食料品が同17.6%増の59億9700万円、通信教育・サービスが同30.0%増の18億900万円と大きく増加した。一方で、衣料品、雑貨は減少した。
1社あたり平均受注件数は6万4951件(回答95社)だった。直近2カ月と比較して増加しており、前月比で約1700件、前々月比で約4700件多かった。
DgS、2カ月連続減
経済産業省は5月29日、商業動態統計の4月分速報値を発表した。ドラッグストア(DgS)の健康食品販売額は、前年同月比4.3%減の171億円で、2カ月連続のマイナスとなった。化粧品などのビューティケア、OTC医薬品も前月に続きマイナスだった。
4月のDgSの商品販売額合計は前年同月比10.4%増の6162億円の2ケタの伸びとなった。商品カテゴリー別にみると、食品が同26.1%増の2002億円、衛生用品などを含むヘルスケアが同20.4%増、家庭用品・日用消耗品は同19.8%増の973億円と2割前後の大きな伸びを示した。調剤医薬品は同11.0%増の522億円、トイレタリーは同4.9%増の535億円だった。
一方で、前年実績を下回ったのが健康食品。3月の同4.1%減とほぼ同じ減少率の同4.3%減の171億円となった。ビューティケアも引き続きの減少。減少率が膨らみ、3月の同10.1%減から4月は同15.9%減の710億円だった。OTC医薬品は、同0.9%減の725億円と微減にとどまった。
DgS上位企業の4月の月次売上は、大半が前年を上回る売上伸び率を示していた。ただ、都市型店舗を中心に展開するDgSが苦戦するなど、3月の売上同様に訪日客減少に伴うインバウンド需要の急減が、健康食品や化粧品の販売額減少に影響したとみられる。