小林香料、新SR用意 HMBで新機能実現へ (2020.7.23)
運動等に伴う一過性の筋肉疲労軽減
HMBカルシウム(HMBCa)を機能性関与成分にした機能性表示食品で今後、運動などに伴う筋肉疲労の軽減機能を訴求できるようになりそうだ。HMBCaの国内製造を手掛ける小林香料(東京都中央区)が研究レビュー(SR)を新たに用意。同社で進めている届出が公開されるなど体制が整い次第、最終製品販売会社などへの届出支援を始める。
小林香料が新たに用意した研究レビューに基づき、同社製HMBCaを機能性関与成分にした機能性表示食品のサプリメントなどで、「運動、身体作業に伴う一過性の筋肉疲労の軽減」といったヘルスクレームが可能になりそうだ。一時的な身体疲労感の軽減を訴求できる機能性関与成分は他にもあるが、筋肉疲労に踏み込んだ機能性表示は初となる。
同社が新しく用意したSRでは、国内大学と同社が共同研究した臨床試験論文を採択。運動に伴う一時的な筋力変化などに対する同社製HMBCaの機能性を検証したもの。論文では、1日あたり1.5㌘を継続的に摂取した上で運動を行うことで、運動直後~5日間における一時的な筋肉疲労の有意な抑制が確認されたことなどを報告している。
同社は以前からHMBCaの届出サポートを進めており、サポート先の届出実績も多い。届け出されているヘルスクレームは、「筋肉を維持する働きにより、運動との併用で、自立した日常生活を送る上で必要な筋力の維持・低下抑制に役立つ機能が報告されています」といったもの。同社で実施したSRに基づく。
この既存のヘルスクレームは、主に、中高年層のロコモティブシンドローム対策を念頭に置いた機能性表示食品で引き合いが多い。そのなか一時的な身体疲労軽減機能に関するヘルスクレームを新たに追加することで、抗疲労訴求の機能性表示食品を展開したい最終製品販売会社のニーズを取り込む。
また、既存ヘルスクレームと新ヘルスクレームを融合させることで、「身体疲労軽減機能に伴う運動支援+ロコモ対策」をコンセプトにするような機能性表示食品の開発もサポートする。これにより、HMBCaの需要を従来なかった領域まで広げる。
知財権で国産シェア拡大
小林香料は、新たに用意したSRに基づく機能性表示食品の届出サポートに加え、新たに取得した知財権などをテコに、HMBCa原材料市場での国産シェアを高める。
同社では、海外産HMBCaに対する差別化として、食品安全マネジメントシステム(FSSC22000)認証も取得した国内自社工場で生産していることなどを背景にした「安心・安全」「高品質」を訴求。ただ、「それだけでは具体性に欠ける」(同社化成品)との指摘はユーザーからも投げ掛けられており、数年前から対応を進めていた。
そうしたなかで、海外製HMBCaに対する具体的な差別化策として実現したのが、HMBCaの品質に関わる国内特許権の成立だ。特定のHPLC分析条件下において面積%(HPLC面積%)が99.0%以上と定量されるHMBCaに関する特許(第6618605号)を昨年末に取得。加えて、今年10月を目途に、この特許に基づく品質(HPLC面積%=99.0%以上)を同社製HMBCaの製品規格に追加する。
また、この品質に関わる特許の土台となる、HMBCa以外の不純物を取り除く同社独自の製造技術についても特許(第6470481号)を取得した。
今後、HMBCaの品質と製法に関わる知財権を背景に、海外産HMBCaに対して強力に差別化していく構え。最終製品市場に対し、日本国産に加え特許で保護された原材料が配合されている証となる、同社で登録した商標(HMB Care)の使用も積極的に促していく方針だ。
【写真=小林香料が商標登録した「国産HMB」の証。知財権もテコに利用を広げる】