サプリメントのアンチドーピング IS認証が日本でも(2020.8.6)
スポーツサプリメントのアンチドーピング認証に関する選択肢が増えることになった。インフォームドチョイス(IC)認証を手掛ける英LGC社が以前から運用しているインフォームドスポーツ(IS)認証が7月から日本でも始まったためだ。IS認証は、「エリートアスリート」向けサプリを対象にした認証プログラム。認証取得製品は販売前の分析試験が全ロットに義務付けられる。認証取得製品数は世界で1000を超える。
ICの日本総代理店、バイオヘルスリサーチリミテッド(東京都文京区)が7月28日に発表した。ISに関しても同社が総代理店となる。既にドームの「DNS」など複数ブランドが日本でIS認証を取得した。
ICとISはともに、化学・バイオ分析企業のLGC社(英国)が手掛けるスポーツサプリのアンチドーピング認証プログラム。日本では2016年にIC認証がスタート。20年7月末までに62社150製品以上が認証を取得した。サプリメントの品質を認証する側面もあるため、アスリートらに消費される製品以外でも認証取得の動きが進んでいる。
そうしたなか、世界的にはICよりも認証取得製品数が多いIS認証プログラムが日本でも始まった。LGC社によると、世界でのIC認証取得製品数は現時点で431製品なのに対し、IS認証は1068製品に上るという。
両認証ともに、認証を受けるには、複数ロット、複数サンプルの製品分析試験に加え、製造工場の品質管理及びドーピング禁止物質混入防止を眼目とする厳密な品質管理について審査を受ける必要がある。
その上で、ICは市場での無作為サンプリング試験(買上試験)を毎月1回定期的に受ける必要があるのに対し、ISは販売前の全ロット試験を義務とする。そのため、IS認証取得製品は、アスリートらが摂取する前に必ず禁止物質の分析試験が実施されていることになる。
もっとも、日本のIC認証取得製品には、販売前の全ロット試験を実施しているものが多い。コストを踏まえればそうした方が合理的だからだ。そのため、実質的にはIS認証を取得しているのと変わらないIC認証取得製品が多いのが実態。ただ、日本はこれまで、アスリートらの混乱を避けるために、認証マークをICに一本化していた。IC認証取得製品が増加しているなか、認証マークを巡る縛りを解き、IS認証ロゴマーク付き製品を市場に加えることで、「(ドーピング)禁止物質への取り組みをさらに一歩進める」(バイオヘルス社)。
LGC社サプリメント事業開発ディレクターのポール・クリンガー氏は、ISについて「エリートアスリート向け製品の販売を志向しているブランドの意向に応えるもの」だとコメント。一方、ICも、「禁止物質の試験に加え、品質と製造に対する高い基準でリスク管理された製品を小売レベルで監視するプログラム」だとした上で、プログラムを通じて「アスリートからスポーツ愛好家まで幅広い消費者にその(高い基準でのリスク管理に関する)取り組みを示すことになる」としている。
【写真=アスリートはどちらを選ぶか。画像上は「インフォームドスポーツ」の認証ロゴマーク。下は「インフォームドチョイス」】