キリンらが街で実証実験 ホップエキスと「脳の健康」(2020.8.6)

03キリントップ写真① キリン合体③

 今年7月、キリンホールディングスと三井不動産は、千葉県柏市の「柏の葉スマートシティ」の住民や通勤者を対象に、キリンHDの独自素材「熟成ホップエキス」を含むノンアルコール・ビールテイスト飲料を用いた「脳の健康」に関する実証実験を開始した。

 キリンHDは2017年に東京大学との共同研究で、ビール苦味成分の「ホップ苦味酸」にアルツハイマー病予防効果がある可能性を報告。その後オリジナル素材の熟成ホップエキスを開発し、脳と腸の相関関係の活性化を促すことで認知機能や抑うつ傾向が改善する可能性のあることを明らかにしている。

 また今年6月には順天堂大学との共同研究で、物忘れに自覚症状がある中高年齢対象者に臨床実験を行い、「特性ホップ由来苦味酸」が認知機能および気分状態を改善することを報告している。

 今回の研究は、近年、大学の研究所や病院などが集まり注目される、「柏の葉キャンパス駅」を中心とした「柏の葉スマートシティ」と呼ばれる地域で20歳以上の男女100人を対象にドリンク「キリン カラダ FREE」を用いて実施。摂取後の気分状態や、主観的認知機能の検査などを行う。キリンHD側は「本研究がノンアルコールビールの健康価値向上につながればと考えています」と語る。

 同地域は「課題解決の街」をテーマに、三井不動産らが主体となって健康長寿などに取り組んでいる。近隣には東京大学や千葉大学の研究施設があり、最先端の予防医学などを背景とした、健康な生活を送れる街を目指す「ヘルシースタイル」を標榜している。

 キリンHDは「同所は健康をはじめとする社会課題に精力的に取り組んでおり、本研究を有効かつ効率的に進めることができると考えた」ことが同所を研究の場に選択した理由だとした。

 12月まで実施。両社はこの研究を通じて、住民らの健康増進に向けた活動にも貢献することを目指す。
第1弾にサプリとグミ投入
 また、キリンHDと電通の合弁会社、INHOP(インホップ)は7月31日、「熟成ホップ」を利用した、同社初となる商品のサプリとグミの2品の販売を開始した。思考する時間をサポートすることを目的に、勉強やテレワークなど「一人での思考時間が増えている今こそ試して欲しい」(担当)として開発した。サプリメント「シンキングサプリ 受験力」と、グミタイプの「同ホップイングミ」で展開していく。

 ただ、販売は数量限定。キリンHDは、「同社初の商品販売であり、お客さまのニーズや市場性を見極める目的で、限定的なテスト販売の位置づけとした」と、初めてだからこそ慎重な販売姿勢を見せている。

【写真左=三井不動産が2005年から始めている、「環境共生」「新産業創造」「健康長寿」を主なテーマに掲げた街づくりプロジェクト「柏の葉スマートシティ」のイメージ図】

【写真右=熟成ホップを配合したサプリ(上)とグミ(下)】




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