コロナ禍の業績 前年下回る先多く(2020.8.27)


 新型コロナウイルス感染拡大が、健康関連商材を取扱う各社の業績に着実に影響を及ぼしている。訪日客数の大幅な減少はじめ、外出自粛要請による店舗の臨時休業や営業時間短縮などにより商品の販売量が激減し、昨年の業績を下回る企業が続出している。一方で、健康に対する意識の高まりなどが関係してか、ビタミン、ミネラルなどのサプリメントが大きく売上を伸ばしている。
 8月上旬から中旬にかけて発表されている、健康関連商品を取り扱う上場企業の業績をみてみる。

 ここ数年のインバウンド消費の大幅な拡大などを背景に売上を大きく伸ばしてきたファンケルの2021年3月期の第1四半期(20年4月~6月)の売上高は、前年同期から約2割減の263億円と落ち込んだ。化粧品、サプリ事業ともに売上が前年を下回った。インバウンドを含む直営店舗などの売上で79億円減らしたことが主な要因だ。第1四半期におけるインバウンド売上は、前期の46億円から1億円にまで激減したという。

 大塚ホールディングスのニュートラシューティカルズ関連事業も低調だ。20年12月期第2四半期の同事業の売上高は対前年比4%減の1588億円。「消費者の活動量の減少」などが影響しているとし、主要製品「ポカリスエット」が振るわなかった。

 サントリー食品インターナショナルの飲料事業も業績を落としている。国内だけでなく、「4~5月にかけて実施された主要各国でのロックダウンや営業自粛要請などが影響」し、20年12月期第2四半期の売上高は対前年比12%減の5525億円だった。また、第2四半期間での特定保健用食品と機能性表示食品を合算した販売数量は、対前年比6%減の1060万ケースだった。

 健康食品を販売する主要販路のひとつ、ドラッグストア各社の業績はどうか。郊外型店舗で食料品などを中心に売上を伸ばすDgSがある一方で、都市型店舗を中心に展開するマツモトキヨシホールディングスが振るわない。21年3月期第1四半期の業績は、対前年比10%減の1316億円。マスクや除菌関連、日用品などは特需が発生したものの、都心店舗での客数減や店舗の臨時休業や営業時間短縮が響いた。同期間でのインバウンド売上は「僅か」ともしている。マツキヨ同様に都市型店舗を推し進めるココカラファインの売上高も同8%減の945億円でマイナスを示している。

一方で健康意識UP 高まるサプリ需要
 コロナ禍で各社が苦戦する一方、明るい材料も出始めている。
 ファンケルでは、ここ数年低調だった発芽米や青汁が大きく伸びた。大塚HDでも、ネイチャーメイドやエクオール含有食品などのサプリメントが伸長した。1~6月のサプリ売上は41億円増の541億円を計上。独自乳酸菌を用いた飲料、ゼリー商品が売上を伸ばしているという。巣ごもり需要や体調管理意識の高まりが背景にあるようだ。

 明治ホールディングスの21年3月期第1四半期においては、ヨーグルト製品を含む発酵デイリー事業の売上高が同3%増の832億円だった。また、運動不足解消ニーズの高まりを受け、プロテインの売上が大幅に伸長したという。

 オーガニックなど自然・健康食品を卸展開する創健社の業績が伸長に転じた。売上高は同10%増の12億円を計上。巣ごもり商品の傾向が強まったことにより、缶詰・レトルト・麺類などの賞味期限の比較的長い商品が健闘したという。

 コロナ禍で業績を落とす先は少なくない。外出自粛など必要最小限の動き方を求められているなか、巣ごもり需要に対応した商品の開発や、販売プロモーションの仕掛けなどの販売施策が、今後の各社の業績にも左右してくるだろう。

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