機能性表示食品制度対応 ウエイトマネジメント素材の今(2020.10.22)
体重や体脂肪の減少をサポートできるウェイトマネジメント(体重管理)対応機能性表示食品の役割が大きく高まっている。新型コロナウイルス感染拡大を受けて多くの人びとが生活スタイルを変えたためだ。新生活スタイルで課題になるのが運動不足、そしてそれに伴う体重の増加。そのソリューションとして、機能性表示食品も積極的に提案していきたい。ウェイトマネジメントに有望な機能性表示食品対応素材の「今」を伝える。
新常態で増えた体重増加者に対応
コロナ太り──新型コロナウイルス感染拡大によって外出が減ったことで生まれた流行語の一つだ。実際、自宅から会社までを往復する通勤が無くなっただけで太ってしまうことを実感した人も少なくないに違いない。
緊急事態宣言が全国的に解除されてしばらく経った2020年8月、明治安田生命が全国を対象に実施した「健康」に関するアンケート。新型コロナ禍の影響を受けた運動不足や食生活の乱れで「体重が増えた」と答えた人は2割超に上った。
同調査は20~79歳の男女5640人から有効回答を得たもの。「体重が増えた」と回答した人は男性が約18%、女性約24%と女性の方が多かった。
別の民間調査では、57%で体重が増え、1キロ以上増えた人も少なくないと伝えている。
この調査では、体重とは逆に、1日あたり歩行数が大幅に減ったとしている。明治安田生命の調査でも、「日常的に運動やスポーツを行っている」と回答した人のうち約3割が「現在中断している」と回答した。〝密〟を避けるために、スポーツジムや複数人で行う運動を一時中断している人が多いとみられるという。
体重管理「意識」と「機能」提供
世界は今、人と人の接触や外出が制限される「ウィズコロナ」時代を迎えている。そのなかで、運動不足の長期化に伴う肥満や生活習慣病の増加に対して警鐘を鳴らす専門家の声もある。
そうした不可抗力的に強いられる運動不足に陥りやすい環境を背景に、体重増加者が今後も増え続けそうな状況に対して、サプリメント・健康食品およびそれに関連する事業者はどのようなソリューションを生活者や消費者に提供できるだろうか。
一つは、ウェイトマネジメント(体重管理)意識の向上だ。新型コロナ禍で健康への意識がただでさえ高まっているなか、ウェイトマネジメント対応サプリメント等の利用提案を通じて、体重管理にも気を配る行動変容を促すことが期待できる。
もう一つは、関連製品の摂取を通じたウェイトマネジメント「機能」の提供だ。既に肥満気味だったり、新型コロナ下の運動不足などで自身の体型が気になり始めた人だったりに対し、関連製品を摂取してもらうことを通じて、体脂肪の減少をサポートするなど体重管理に資する機能を提供できる。
新型コロナの影響下で、いわゆる「ダイエット」をめぐる業界ニーズが全般的に伸びているといわれる。ただ、体重管理にかかわる「意識の向上」に向けた提案と、「機能の提供」を同時に実行できるサプリメント・健康食品は、機能性表示食品など保健機能食品〝一択〟となる。
機能性を表示できない一般健康食品は、機能の提供はできるにしても、その製品に抗肥満機能などのウェイトマネジメント機能が期待できる旨を、生活者や消費者に正面から「提案」することは難しいからだ。
トクホ(特定保健用食品)でもその「提案・提供」は可能だ。ただ、規模の大小問わず多くの事業者でそれを可能にするという意味では、機能性表示食品〝一択〟となる。そこで、今回の本紙「ピックアップ」では、機能性表示食品制度に対応できるウェイトマネジメント素材(機能性関与成分)にスポットを当てることにした。
食品機能でやせる方向にうながす
消費者庁が運用する機能性表示食品の届出情報データベースで、表示しようとする機能性に「体重」が含まれる届出を検索すると、127件(製品)がヒットする(10月18日現在。以下同)。
「体脂肪」は123件、「内臓脂肪」は256件、「BMI」は163件、「脂肪/吸収(抑制)」だと277件。機能性表示食品の累計届出総数はおよそ3300件だから、ウェイトマネジメント機能に関する届出が現時点で一定数存在することになる。
一方、その機能性関与成分の種類はというとそう多いわけではない。「体重」に関しては、127件のうちおよそ100件を葛の花由来イソフラボンで占めている。ウェイトマネジメント領域をけん引する機能性関与成分は同成分であることが窺われる。
ただ、一定のバリエーションはしっかり確保されている。現在40件余りの届出があるローズヒップ由来ティリロサイドは一般加工食品での採用が目立つ。脂肪の「消費」と「減少」を訴求できるブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボンも届出件数を伸ばしている。また、ターミナリアベリリカ由来没食子酸では、可能な機能性表示が積極的に拡充されている。直近では「体重」が追加された。
他にも、20年9月に初登場した「エラグ酸」も注目の成分。短期間のうちに届出が積み上がっている。また、エノキタケ由来脂肪酸、コーヒー生豆由来クロロゲン酸類、茶カテキン、りんご由来プロシアニジン──などもウェイトマネジメント対応の有望素材だ。いずれも届出実績が既にあり、原材料事業者が届出支援を展開してもいる。
さらに、今後も新たな対応素材が出てくる。食事からの脂質吸収抑制に関する効果サイズを具体的に「15㌘」であることを明らかにしたキウイ由来プロシアニジンの届出手続きが現在進行中だ。従来なかったエビデンスを持つ新規の機能性関与成分として注目を集めそうだ。
ウェイトマネジメントに対応できるといっても機能性表示食品は「薬」ではない。だからそれを摂取しただけで大幅にやせるようなことはないが、科学的根拠を踏まえた適切な提案を行うことで、生活者や消費者をやせる方向に促すことができる。新たな感染症の影響で生まれた新たな環境下、ウェイトマネジメント対応機能性表示食品の役割が大きく高まっている。
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