都民のサプリ使用 約4割 「毎日使用」16%、「時々」23%(2020.11.26)
サプリメント、健康食品を使用している東京都民は約4割──都が実施した2019年度「都民の健康と医療に関する実態と意識調査」でこんな結果がまとまった。健康食品を使用したことがあるか尋ねたところ、「毎日使用している」が16.6%、「時々使用している」が23.3%と合わせて39.9%に上った。一方で、「以前は使用していたが現在は使用していない」は19.2%、「一度も使用したことがない」は39.7%と合わせておよそ6割だった。
全国、国の調査で約3割
同調査は、東京都が都統計調査条例に基づき09年度からはじめたもの。今回で3回目。今回の調査期間は昨年10月中旬から翌11月中旬の1カ月間。都内に居住する6000世帯のうち3287世帯、満20歳以上の世帯員から回答を得た。調査結果は都が11月10日に公表した。
健康食品の使用状況を尋ねた設問の回答者数は5627人。6403人が回答した前回調査(14年度)結果と比べて、「毎日使用している」「時々使用している」の回答率がそれぞれ0.9ポイント、0.8ポイントとわずかながら増加した。
健康食品を使用している人の割合を性別に見ると、男性は36.7%、女性は42.6%となった。女性では、「毎日使用している」と回答した人が50歳以上の全世代で20%以上に上った。
健康食品・サプリメントの使用実態を調べる調査は国もここにきて実施している。厚生労働省の国民健康・栄養調査では、19年調査で初めてサプリメント(健康の維持・増進に役立つといわれる成分を含む、錠剤、カプセル、粉末状、液状などに加工された食品)の摂取状況を尋ねる設問を盛り込んだ。その結果、男性30.2%、女性38.2%がそれぞれ摂取していた。
また、国の基幹統計調査の一つ、国民生活基礎調査においても、19年の大規模調査でサプリメント形状食品の摂取実態を初めて調査。結果は男性21.7%、女性28.3%だった。
国民生活基礎調査は他の調査結果と比べて割合が低くなっているものの、国民のサプリメント・健康食品の利用率はおおよそ3~4割と推測できそうだ。未使用層がまだまだ多いことになる。
体調不良経験「なし」9割
東京都の健康・医療の実態および意識調査では、健康食品の摂取実態をかなり詳細に調べている。
19年度調査では、健康食品を使用したことがあると回答した3322人に「使用するきっかけ」を複数回答で尋ねたところ、「不足している栄養を補いたいと思ったため」や「健康の維持が必要と考えたため」と回答した人が多く、それぞれ22%台だった。次いで、「病気の予防や治療のため」8.4%、「家族・友人に勧められたため」4.9%、「ダイエットのため」4.6%──などが続いた。
また、健康食品の購入先を複数回答で尋ねる設問では、「薬局、ドラッグストア」が51.5%で最多となった。次いで「インターネット、携帯サイトなどの通信販売」が27.8%で2位。通信販売は前回14年度調査から回答率が6.3ポイント増加しており、健康食品の販売チャネルがEC通販市場に広がっていることをうかがわせる。薬局・ドラッグストアも2.9ポイント増加した。
また、健康食品の使用状況を食生活・生活習慣改善意欲別に見ると、改善意欲が「十分にある」と回答した人では「毎日使用している」と「時々使用している」を合わせた割合が47.4%と5割に迫った。
逆に、改善意欲が「まったくない」と回答した人では「一度も使用したことがない」の割合が63.7%と過半数に上った。健康食品の未利用層に対して消費を促すためには、まずは食生活や生活習慣の改善意欲を持ってもらう必要があるといえそうだ。
さらに、健康食品を使用したことに伴う「体の不調」経験まで尋ねている。結果は「体の不調を感じたことはない」と回答した人が90.9%(前回調査93.0%)と9割超。国民生活センターによると、健康食品による危害情報が消費者から寄せられることがここ数年で急拡大しているというが、少なくとも都の調査結果からそれはうかがわれない。
ただ、「体の不調を感じたことがある」と回答した人も実際にいて4.1%(同4.2%)。無回答も5%(2.7%)あった。
また、体の不調を感じたことがあると回答した135人に具体的な症状を複数回答で尋ねたところ、「下痢・腹痛」が27.4%、「発赤(ほっせき)・発疹・体のかゆみ」が25.9%とそれぞれ2割を超えた。そのうち医療機関を「受診した」と回答した人は、28.1%と3割未満だった。