前年比2倍近い水準 健食、危害情報の増加止まらず(2020.11.26)


 健康食品に関連した体調不良など危害情報の増加が止まらない。国民生活センターが11月6日付で更新したホームページ情報によると、PIO‐NETに寄せられた今年度の健康食品の危害に関する相談件数は、9月30日現在で2230件と前年同期比で2倍近い水準。19年度も前年度比で2倍以上に増えていたが、今年度はそれを上回る勢いで推移していることになる。第2の『ケトジェンヌ』が生み出される要因とならないか心配だ。

 健康食品に関連して消費者から寄せられる体調不良の相談は、国民生活センターによると、スマートフォンからサプリメントの定期購入で申し込んだ人から寄せられる場合が目立つ。「摂取後に体調不良が生じたため解約を申し出たが、拒否されて不満であるなどの定期購入に関する相談が多く見られます」という。

 具体的な相談事例を見ると、例えば次のようなものがあるという。
 「定期購入でお試し価格のダイエットサプリメントを注文したが、1袋を飲んだところ、下痢が続き体調を崩してしまった。解約保証期間を過ぎていたが、いつでも解約できると記載があったので解約を申し出ると、高額な解約料を請求され納得できない」

 体調不良を起こしたのに定期購入契約を解約できない──そのような「健康」と「契約」に関する〝ハイブリット型被害〟を訴える相談が消費者から多く寄せられているということ。「ケトジェンヌ」の問題がそうであったように、実際に健康被害が起こっているのかどうかを見えづらくさせている要因がここにある。

 一方、定期購入契約を巡る不満を抱える消費者が健康食品と同様に少なくないと言われる化粧品関連。国民生活センターは、やはり「危害情報が急増しています」と注意喚起しているのだが、今年度の相談件数は健康食品ほどの大幅な増加を見せていない。むしろ、前年同期比で減少している。

 同センターによると化粧品の危害についてPIO‐NETに寄せられた今年度の相談件数は9月末時点で1085件にとどまる。前年同期は1231件であったため、およそ150件少ない形だ。化粧品も健康食品と同様に、19年度は危害相談件数が前年から大幅に増加していた。

 19年度、PIO‐NETに寄せられた危害情報件数のトップは健康食品。次いで2位は化粧品だった。
 そのなかで、20年度も健康食品は引き続き大幅な増加傾向を見せている一方で、化粧品は減少傾向。その理由は判然としないが、新型コロナ禍における消費者ニーズの変化が影響している可能性もありそうだ。

 いずれにせよ、20年度の危害情報件数は最終的に、1位と2位の差がさらに大きく開くことになる見通し。

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