JARO 20年上半期 広告巡り「苦情」増加 (2020.12.24)
日本広告審査機構(JARO)が2020年上半期(20年4~9月)に受け付けた広告・表示に関する相談のうち、「苦情」の件数が前年同期と比べて大きく増加した。とくに健康・美容分野の伸びが大きく、健康食品は前年同期比で倍増し、化粧品は1.6倍。また、以前は目立たなかった医薬部外品に関する苦情が3倍以上にも増えた点が目を引く。媒体別ではインターネットが最多。新型コロナウイルス感染拡大の影響で外出自粛が増えた4月以降から苦情件数が増加したという。
JAROが「2020年度上半期審査状況」として12月7日に発表した。20年上半期に受け付けた広告・表示に関する相談の総数は7969件で、うち「苦情」がおよそ8割を占めた。苦情件数は前年同期比で約36%増加。月別では4月に約64%の大幅な増加を記録した。
苦情を業種別で見ると、最多はデジタルコンテンツで730件。次いで健康食品が634件で続き、この2つは前年同期比で倍増した。伸びが最も大きかったのは3位の医薬部外品で、前年76件から3.6倍以上伸び、276件に達した。化粧品は252件(約60%増)で4位。
健康食品に関する苦情については、「広告のような効果が得られない」「定期購入だと分かりにくい」などといった声が寄せられたという。
苦情を媒体別でみると、最多はインターネットで前年同期比約53%増の2920件。この中で苦情が最も多かった業種は健康食品で459件(前年同期198件)だった。次いでデジタルコンテンツが440件(同262件)、化粧品が195件(同104件)、医薬部外品が188件(同43件)──などと続いた。
また苦情を申し立て内容別にみると、表示、表現、広告の手法の3つに大別され、このうち、虚偽・誇大など表示規制に抵触するものが多い「表示」が前年同期比で約54%増加した。外出自粛が広がりはじめた3~4月ごろから増えはじめたという。
表示のなかでも特に増加が目立ったのは「品質・規格等」で1891件(前年同期793件)。この内訳をみると、増加が目立ったのは、健康食品の284件(同102件)、医薬部外品の147件(同26件)、化粧品の106件(同42件)だった。
「定期」苦情 医薬部外品で急増 健康食品、増加傾向止まらず
通信販売で購入できる医薬部外品の定期購入契約を巡る消費者からの苦情が増えている。
JAROがこのほどまとめた2020年上半期(4~9月)審査状況によると、20年上半期は27件と前年同期の12件から倍増した。
JAROのまとめでは、20年上半期は医薬部外品の表示・広告に関する苦情も大幅に増えている。今後の増加状況が注視されそうだ。
定期購入契約に関する苦情をめぐっては、健康食品に関して増加傾向が止まっていない。JAROが20年上半期に受け付けた健康食品に関する同苦情件数は84件で最多。前年同期76件からさらに増加した。
一方、化粧品は26件で、前年の27件からわずかだが減少した。
20年上半期の定期購入に関する苦情件数は全体で147件となり、媒体としては全てがインターネットだったという。19年上半期は127件、18年同は27件と増加傾向が続いている。
定期購入契約を巡る苦情が減らない状況を受け、消費者庁は、詐欺的な定期購入商法に対して特定商取引法の改正を通じて更なる規制強化を講じる構え。