トマト種子、「機能性」めざす 抗糖化と肌の弾力維持 (2021.4.8)


オリザ油化、対応準備急ぐ
 オリザ油化(愛知県一宮市)がトマト種子エキスを配合した機能性表示食品を最終製品販売会社等が販売できるよう準備を急いでいる。トマトジュースなどトマト加工品を製造する際に大量廃棄される種子を原料にしたもので、ヘルスケアだけでなくSDGsにも貢献できる素材。機能性については、肌に含まれるコラーゲンおよびエラスチンのリサイクル促進機能やバリア機能の他、弾力維持・改善機能などが期待できることをこれまで明らかにしている。SDGs対応および機能性表示食品対応素材として、肌の弾力維持機能などを表示できるようにしたい考えだ。

関与成分リコペロサイド
 トマト種子エキスは、オリザ油化が2018年に発売した独自の機能性食品素材。皮膚の真皮に含まれるコラーゲンやエラスチンの産生(リサイクル)を促進する働きが期待できることを明らかにし、その有効成分として、サポニンの一種であるリコペロサイドHを同定した。現在、同成分を規格化した「トマト種子エキス‐P」などの原材料販売を手掛ける。主に美容食品・サプリメント向けに供給している。

 トマト種子エキスによるコラーゲン・エラスチンのリサイクル促進機能については、出願していた特許が昨年末までに成立(特許第6799114号)。また、トマト種子エキス‐Pを機能性表示食品に配合できるようにするために、同社はこのほど、外部CRO機関を通じたRCT(ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験)を実施。その結果、肌の健康維持に悪影響を及ぼす糖化ストレスの軽減、それに伴う肌弾力改善機能を確認できたと、3月26日に発表した。

有効量1日200㎎
 発表によると、RCTは、健常な成人女性44名を対象に8週間にわたり実施。トマト種子エキス‐P摂取群には、1日あたり200㍉㌘を毎日摂取してもらい、肌弾力に及ぼす影響をプラセボ群と比較した。

 その結果、糖化ストレスについては、バイオマーカーとなる血中のペントシジン量が摂取8週間後にプラセボ群との比較で有意に減少した。一方、肌の弾力性に関しては、皮膚弾力性の指標として用いられる総弾力性▽正味の弾性▽回復弾性──の3指標がそれぞれ、プラセボ群と比べて有意に向上することが確認されたという。

 試験結果を受けて、同社では現在、試験結果を踏まえた特許出願を終え、査読付き学術誌への論文投稿の他、機能性表示食品制度への対応準備を急ピッチで進めている。

 現時点で考えられる機能性表示食品としての届出表示(ヘルスクレーム)は、「本品にはリコペロサイドHが含まれます。リコペロサイドHには糖化ストレス軽減による肌の弾力を維持する機能があります」

 糖化ストレス軽減(抗糖化)および肌の弾力性維持を訴求する届出は、それぞれこれまでも行われているものの、その両方をセットにした表示が届出された実績は現在のところ無く、届出が実現すれば初のヘルスクレームとなる。

 そのため同社では「出来るだけ早い届出を目指した準備を着実に進行させている」としている。今後、研究レビューも行い、最終製品販売会社に対する届出サポートを幅広く展開していく方針だという。

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