キューサイ子会社化 準備完了 ユーグレナが6月末にも(2021.5.27)
グループ売上 400億円規模へ
投資ファンドと共同出資して設立した特別目的会社を通じ、健康食品・化粧品通販大手キューサイ(福岡市中央区)の連結子会社化を目指していたユーグレナ(東京都港区)は、6月末に同社を子会社化し、傘下に迎える道筋を整えた。キューサイの連結子会社によってユーグレナグループ全体の売上高は、400億円規模にまで拡大する見通しだ。
ユーグレナは5月17日までに、現在キューサイの全株式を保有する特別目的会社Q‐Partnersを通じ、6月30日を見なし取得日としてキューサイを連結子会社にする予定を正式に発表した。
同特別目的会社は、ユーグレナや投資ファンドら3者が昨年10月に共同設立。同12月にキューサイの全株式を取得していた。
ユーグレナの出資比率は当初12・84%だったが、5月17日、他の2社から約89億円で株式を追加取得。これにより持分比率を49%まで引き上げ、キューサイを連結子会社化する手続きを完了させた。
ユーグレナは元々、同特別目的会社がキューサイ全株式を取得した後1年以内にキューサイを連結子会社化する計画を示していた。ただ、先月22日までに、海外募集による新株式発行によって129億円を調達し、必要資金の調達を完了。子会社化できる体制がおおよそ整ったことから計画を前倒しした。
キューサイを連結子会社にすることに伴うユーグレナグループの業績への影響は、2021年9月期第4四半期から発生する。ユーグレナは5月14日、通期連結業績予想を発表し、売上高を当初予想152億円から220億円に上方修正。連結子会社となるキューサイの売上高が寄与することで、通年換算では400億円規模にまで拡大する見通しを示している。キューサイの20年12月期連結売上高は約246億円で、経常利益は約19億円。直近2年比で減収減益となっているが、ユーグレナでは、広告投資宣伝の拡大によってキューサイ売上高を21年度中に増加反転させる構え。その上で、25年12月期に売上高300億円、利益(EBITDA)50~60億円の実現を目指す方針を表明している。
ユーグレナは、同社とキューサイは「親和性と補完性が高く、事業連携やシナジーの可能性が大きい」と見る。
両社とも、サプリメント・健康食品、スキンケア化粧品をラインナップし、主に通信販売で展開している中で、キューサイを傘下に入れることでグループ全体の顧客層の拡大などを見込めるからだ。
ユーグレナにとっては、キューサイの主要顧客であるシニア層を取り込める他、現状では手薄な機能性表示食品をポートフォリオに加えられるメリットがある。
21年上期業績、ヘルスケア伸長 下期、広告宣伝強化
ユーグレナが5月14日発表した2021年9月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比27.2%増の77億3700万円、経常利益は約1億2700万円の赤字(前年同期は約1億3700万円の赤字)だった。
主力のヘルスケア事業の売上高は、同27.2%増の約77億2000万円、セグメント利益は同9.7%減の約4億円となった。20年下半期に積極的に投資した広告宣伝、販促活動が寄与し、定期顧客数が純増したという。
21年上期は、キューサイ子会社化に向けたキャッシュコントロールのため広告投資を抑制していたが、下期は同投資を再拡大する。海外募集による新株式発行によって調達した約129億円のうち約11億円を、広告宣伝費などの運転資金に充てる計画だ。