ドラッグ業績 各社で堅調 コロナ特需で恩恵も (2021.6.24)
ウエルシア、1兆円射程に
ドラッグストア売上高上位企業の業績がほぼ出揃った。一部、来月に2020年度の本決算を発表する企業はあるものの、ウエルシアホールディングス(東京都千代田区)とツルハホールディングス(札幌市東区)が前年同様に売上高上位2企業となりそうだ。その他の各企業も概ね前年度実績を上回る売上高を計上しているが、コロナ特需が薄まる今後のDgS市場はどのように変わっていくのか――。
マツキヨ、ココカラは苦戦
ウエルシアの20年度の売上高は、対前年比9.4%増の9496億円と1兆円の大台に迫った。21年度については、1兆210億円の通期連結業績を見通しており、DgS企業による初の1兆円企業が誕生しそうだ。
また、今月22日に20年度の業績を発表したツルハは、同9.3%増の9193億円を計上した。2社ともに前年の8000億円台から9000億円台の売上高に乗せた。
2社の業績好調の背景には、従来から進めているM&Aによる規模拡大と、コロナ感染対策によるマスクや除菌剤などの衛生用品の特需がある。
ウエルシアでは、クスリのマルエやネオファルマーなど複数社を新たにグループ傘下に加えた。一方のツルハは、九州エリアを地盤に約200店舗を展開するJR九州ドラッグイレブンを子会社化するなど、これまで手薄だった九州での事業攻勢を強めている。
前年度売上高3位のコスモス薬品(福岡市博多区)の20年度業績は来月発表される。業績予想は同5.6%の7230億円。食品の品揃えを特徴に事業規模を拡大させてきた同社は、一昨年に東京に進出、関東圏での出店を加速させている。第3四半期までの業績も着実に伸長しており、発表している売上高数字はほぼ達成するとみられる。
一方、各社の業績が好調な一方で苦戦しているのが、マツモトキヨシホールディングス(千葉県松戸市)とココカラファイン(横浜市港北区)だ。
マツキヨは同5.7%減の5569億円、ココカラは同9.3%減の3664億円と、ともに前年実績を割った。訪日客の消滅によって、得意とする化粧品などのインバウンド消費が落ち込んだことが要因だ。インバウンドを見込んだ都市型店舗の出店攻勢を進めてきたことも業績に影を落としている。
アフター・コロナの対応注目
各社の前年の商品売上をみると、マスクなど衛生用品を含む分野は2ケタ伸長が多かった。一方で、化粧品はほとんどが前年を割っている。健康食品、サプリメントについては、単独で集計しているところが少ないため推測するしかないが、主にインバウンド向けで展開していた場合は厳しい状況にあるようだ。
今年度の各社の業績はどう推移するか。日本チェーンドラッグストア協会が今年3月に発表したDgS市場は推測で8兆円超と、業界は拡大基調にある。しかし、前年のコロナ特需はほぼ無くなる。実際、各社の月次売上高をみると、ここ数カ月の既存店売上高は前年を割るところが多い。前年のマスクや除菌剤などの特需に代わる、国内需要の掘り起こし、店舗展開などの事業の体制整備が求められそうだ。