健食機能性表示の制度化盛る 規制改革会議答申(2013.6.6)
政府の規制改革会議(岡素之議長・住友商事相談役)は5日、約130項目の規制改革について明記した答申をまとめ、安倍晋三首相に提出した。健康・医療分野の優先項目の一つとして検討していた「一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備」も盛り込まれ、機能性表示の制度化について今年度から検討を開始し、2014年度にも制度を創設するよう求めた。政府は規制改革実現に向けた工程表などを盛り込んだ実施計画を策定し、成長戦略などとともに閣議決定を目指す。
「一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備」では、一般健康食品の機能性表示の容認を含め6項目の改革を提案。現行法制度では食品の機能性表示は特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品にほぼ限られているが、いわゆる健康食品など保健機能を有する成分を含む加工食品及び農林水産物であれば、機能性表示を容認する新たな方策を検討し、14年度にも創設を提案した。
また、制度の方向性についても触れ、米国のダイエタリーサプリメントの制度を参考に、企業などの責任において、科学的根拠の下に機能性を表示できるものとし、民間による第三者認証との文言は使わなかったものの、民間のノウハウを活用した制度を求めた。
一方、トクホ関連では、形状規制が廃止されているにも係わらず、事実上トクホとして認められていない錠剤・カプセル形状について、これを認めることを改めて明確にするよう求めた。また、審査にかかる期間が長いとの指摘もある審査手続きの合理化、迅速化と、これによる申請企業の負担軽減について今年度中に結論を出し、14年度に実施するよう求めた。
このほか、現行ではビタミン、ミネラルに限られている栄養機能食品の対象成分の拡大、薬事法における「無承認無許可医薬品の指導取締り」の対象としない「明らか食品」の範囲を明確化し、周知徹底すること、消費者の選択に資する分かりやすい表示の検討と、併せて事業者が適切に表示できるよう、法制度ごとにあるガイドラインの一本化を図るよう求めた。
5日に記者会見した岡議長は、健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備により「安倍首相が掲げている農業産品、加工食品の輸出倍増方針にも貢献すると思う」と語り、輸出産業としての経済効果に期待を示した。またこの課題を検討した健康・医療ワーキンググループ座長の翁百合氏(日本総合研究所理事)は、「消費者はセルフメディケーションの実現、予防に関心を持っている。改革が実現すれば消費者が正しい情報を得られ、適切に健康食品や農産物を含め摂取できる。また、関連産業の一層の活性化にも期待される」と述べ、国民の疾病予防や健康維持とともに、関連する国内産業の発展に期待した。
今回の答申は①エネルギー・環境②保育③健康・医療④雇用⑤創業等――の5分野についてまとめたもの。今月中に取りまとめる成長戦略に盛り込むことを想定し、緊急性の高い分野などに対象を絞った。農業や混合診療など他の重要分野については、7月以降の次期会議で検討する予定。