トレハロースの耐糖能の改善など報告 林原(2014.9.25)
㈱林原研究開発本部食品・ヘルスケア素材課の丸田和彦チームリーダー(工学博士)は18日、都内で開かれた「フードシステムソリューション2014」で講演し、多機能性糖質トレハロースのメタボリックシンドローム予防効果やレシピなどを解説した。
マウスの高脂肪食摂取試験で、トレハロースは脂肪細胞肥大化の抑制や、耐糖能異常の進行抑制が認められているが、同社はヒト試験を実施した。BMI23以上の被験者34人をトレハロース摂取群17人とスクロース(砂糖の主成分)摂取群17人に分け、3カ月間、朝昼晩の食事に3.3㌘を摂取させた。
摂取前と摂取3カ月後に実施した糖負荷120分後の試験で、空腹時に対する血糖値変化率を比較したところ、摂取前は約130%だった。3カ月後にトレハロース摂取群は100%に近づき、空腹時の血糖値レベルに達した。一方、スクロース摂取群の血糖値変化率は摂取前とほとんど変わらなかった。
この試験結果を受けて丸田氏は「トレハロース摂取により耐糖能の改善が認められた」と述べた。
さらに同社は被験者34人からBMI23以上かつ体幹部脂肪率23.8%以上の25人を抽出。トレハロース摂取群12人とスクロース摂取群13人に対して、摂取前と摂取3カ月後の体重、腹囲、血圧、血液凝固因子PAI‐1の変化率を比較したところ、トレハロース摂取群には変化が認められなかった。
「トレハロースを朝昼晩の毎食事に3.3㌘取り入れることで、健康的な食生活を実現できる」。
丸田氏はトレハロースの糖質調味料「トレハ」を使用したレシピの例を提示した。米3合にトレハロース約10㌘を加えた寿司飯は、トレハロースの水分子キャッチ能力によってふっくらした状態を保持でき、冷凍保存をしても硬くなりにくい。卵4個にトレハロース約6㌘を加えた卵焼きは、きめ細かくなって出汁の風味が引き立ち、さらに凝固が遅くなるため巻きやすくなるという。
【写真は丸田和彦チームリーダー】