健食送りつけ商法 相談数前年比5倍に 国セン処分強化を要望(2013.6.6)


 健康食品を利用した悪質な電話勧誘販売が横行している。高齢者をターゲットにした健康食品の送りつけ商法に関する2012年度の相談件数は全国1万4000件を超え、前年度の5倍以上に激増したと国民生活センターが5月23日、発表した。国センでは消費者に注意喚起を呼び掛けるともに、消費者庁に対して違反業者への行政処分の強化を要望。警察との積極的に連携することも求めている。

 この問題を巡っては電話勧誘販売業者に対する特定商取引法違反に基づく行政処分(業務停止命令6カ月)が12年12月と13年2月に下されている。一方で、国センによると「次々と新しい業者が同じ手口で商品を送りつけており、被害が後を絶たない」。

 相談内容から推測される悪質事業者数は、少なくとも100社以上にものぼる。なかには、実在する健康食品販売大手の社名を名乗るケースもある。また、名乗る社名が違っても、所在地は同じ建物内だったり、販売商品が同一のケースも見られたりするほか、チラシやセールストークが良く似ている場合もあることから、業者間で販売手口が共有されている可能性もあると国センでは見ている。

 こうした悪質電話販売勧誘業者は、健康食品の「高額購入者名簿」を利用していると見られる。消費者庁が今年2月に行政処分を下した東京都豊島区の事業者の事務所からは、同庁の立ち入り検査した時に同名簿が発見されている。このような名簿を販売する名簿販売業者は複数存在することは、インターネット上で確認できる。

 国センの発表によると、PIO‐NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に12年度寄せられた注文した覚えのない健康食品を無理やり送りつけられたりするという全国からの相談件数は1万4274件と、前年度比でみると5.2倍にも達した。特に、13年1月以降に急増したとしている。

 トラブルの中心は60歳以上の高齢者で、「以前お申し込みいただいた健康食品を今から送ります」などとして、申し込んだ覚えのない健康食品を強引に送りつけようとされるという相談が大半。料金請求には代引を利用する場合が多いが、商品に現金書留封筒や払込用紙を同梱する手口も見られるという。

 中には、「申し込んだのだから払え」「(払わないのならば)訴える」などとして代金支払いを迫られ、押し切られて購入を承諾してしまう場合も多くあり、判断能力が不十分なことにつけ込んだ勧誘も見られるという。また、効果効能を謳うセールストークがなされている場合も見られ、薬事法に抵触する可能性もあるとしている。

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