抗ロコモ市場形成なるか サントリー参入機に(2013.5.23)

ロコモをトータルでカバーするサントリーウエルネスの「ロコモア」

 ロコモ元年とも言われる今年、それに対応する商材の動きがにわかに活気付いてきた。政府が推進する健康日本21の第2次計画で掲げるロコモティブシンドローム認知向上の後押しもあり、各企業のプロモーション活動も活発化、メタボに次ぐ大型市場形成への期待が高まっている。グルコサミンやコンドロイチンといった認知の高い素材を筆頭に、抗疲労の機能を持つイミダゾールジペプチドなど今後市場性が見込める素材の採用も進みつつある。

 健食業界では、身体の運動器に関わる骨や関節、筋肉といった部位へ機能する素材は以前から流通してきた。骨の強化では、牛乳などを由来とするカルシウムをはじめ、それを吸収補助するビタミンD、乳塩基性タンパク質MBPなどがあげられ、関節部位への働きでは痛みの緩和といった体感性の高さが持ち味のグルコサミンやコンドロイチン、MSM、プロテオグリカンなどが抗ロコモのコンセプトを打ち出している。

 ロコモ対策として重要視されるのが筋肉への作用。ロコモとして定義される要介護状態の対象者は高齢である場合も多く、身体の各器官を支える筋肉が衰えていることが想定できる。加齢に伴う筋力の低下や筋肉量が減少する状態を指すサルコペニアの改善は、ロコモ対策の入口ともいえる。そのサルコペニア対策として、筋肉維持のためのアミノ酸や、筋肉量減少を予防するホエイプロテイン、筋肉の質を改善する機能も持ち合わせるビタミンD3などの提案が進められている。

 これら各商材を取り扱う企業では、7~8年前に市場を築き上げたメタボリックシンドローム対策商材以来の商機と見て、既存品のコンセプトを抗ロコモの枠組みに包含させることで新たなアプローチを開始している。その中でサントリーウエルネスが関節をベースに骨や筋肉までカバーする健康食品を6月に上市する。遅まきながらの感はあるが、大手ブランドによる一般ユーザーへの訴求が進めば市場での競争に拍車がかかる。その影響から追随する企業も相当数出ることも予想される。

 一方で懸念も残る。メタボ対応商材は時流に乗り一大市場を築いたが、現在その認知、利用状況については往時の勢いはない。流行廃れはあるだろうが、継続しなければ定着は見込めない。いま追い風のロコモ対応商材をどのように一般ユーザーへの認知を高めるか。一時のブームに終わらせないためにも、メタボ商戦を教訓にいかにロコモ対策の必要性を浸透させるかが重要となる。

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