6月上旬に答申取りまとめ 規制改革会議(2013.5.23)

岡素之議長

 規制改革会議(岡素之議長・住友商事相談役)は、6月上旬にも答申を取りまとめる方針を固めた。同会議では総理が指示した重点分野(健康・医療、エネルギー・環境、雇用)に関する規制改革について審議を行っており、答申内容は政府が同月中に取りまとめる成長戦略に盛り込まれる予定。

 答申では、規制改革の基本的な考え方から、これまでの審議経過と今後の取り組み、各ワーキンググループ(WG)で検討した分野ごとの改革課題について、項目立てて取りまとめる予定。政府はこの答申を受けて、改革に向けた工程表などを盛り込んだ「規制改革実施計画」を策定、成長戦略などとともに閣議決定する見通し。

 なお、各WGがこれまで検討してきた規制改革の優先課題については、今月下旬にも各WGの報告書として取りまとめられ、同会議に提出される予定だが、中身については答申決定まで公表されない見通し。

 このうち、健康・医療WGで優先課題の一つとして検討している、健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備については、9日の同WG会合で、消費者庁など関係省庁と個別折衝を行いつつ、この問題について決着を図ることを確認した。この問題では、民間の第三者機関による機能性表示の認証制度創設を求める同WGと、これに慎重な消費者庁という構図となっており、残りの日数で両者が合意に至るのか予断を許さない。

 民間による第三者認証は、医療機器の認証などで行われており、同WGではこうした例を参考に、国が基準を示したうえで、民間の第三者機関が機能性表示を認証する制度創設を描いている。

 一方、食品表示を所管する消費者庁は、現行制度の栄養機能食品の対象成分の拡大を検討することでこれに応え、第三者認証による機能性表示については、調査や検討が必要だとして慎重な姿勢を示す。9日の同WGでも、機能性表示は現行の特定保健用食品(トクホ)で可能であるなどとする見解を改めて示してり、事務局を務める内閣府の規制改革推進室担当者も「消費者庁との(議論は)ややすれ違った」と認めている。

 ただ、同WGではあくまでも第三者認証による健康食品の機能性表示実現に向けた規制改革を求める方針であり、同WGの報告書には、制度創設に向けた実施計画の策定にまで踏み込んだものにする意欲を見せている。同WGの熱意が消費者庁を説き伏せることができるか注目される。

 また、9日の同WGでは、トクホの審査期間が長すぎるとして、この改善に向けた方策検討を消費者庁に求めた。同WGは回答を求めているが、同庁は回答時期を含め留保しており、改善がいつ頃実現されるのかは不透明だ。

 同WGでは、食品安全委員会で安全性の確認が必要になる新規成分などの申請案件の場合、審査に3~4年かかり、制度上問題があるとの指摘があったという。

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